研究実績の概要 |
昨年度、CoQ10強化飯摂取による血清CoQ10値の上昇値には個人差のあること、血清コレステロール値で高値(200mg/dL以上)を示すグループの方が、それ以外のグループよりも上昇値が大きいことを見出した。しかし、血清コレステロール値と関連のあるAPOBのSNP rs1042034と血清CoQ10値の上昇度との関連 は見出されなかった。その一理由として、被験者数が少ないことが考えられた。そこで、本年度は長期CoQ10サプリメント摂取試験に参加している170名を対象に、CoQ10サプリメント摂取摂取前後の血清CoQ10値とコレステロール代謝に関わる遺伝子のSNPとの関連を調査した。 7種類の遺伝子のSNPの調査を行った。その結果、既に血清コレステロール値と関連の報告があるコレステロール生合成に関わる遺伝子(仮に遺伝子Aとする)のSNPは、女性被験者、特に60歳以上において、サプリメント摂取前の血清CoQ10値との関連のあることが分かった(コレステロール値 p=0.009, CoQ10 p=0.024)。しかし、男性においては関連が見られなかった。また、コレステロール代謝に関わる遺伝子(遺伝子Bとする)のSNPは、1年間、100~120mg/日のCoQ10サプリメント摂取に伴う血清CoQ10値の上昇値に約1μg/mLの差をもたらすことが分かった(女性のみ p=0.037、男女計 p=0.050)。さらに、同じ被験者群を対象として食事摂取調査を行い、サプリメント摂取に伴って血清CoQ10値が上昇しやすい人は、乳製品や卵製品を多く摂取していることを示唆する結果を得た。 3年間の研究により、血清CoQ10を高く維持するためには、CoQ10サプリメントや強化食の摂取が効率的ではあるが、SNPや一緒に摂取する食事の質の影響も受けることが分かった。
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