研究課題/領域番号 |
15K00843
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中村 滋 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (00599269)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 栄養制限 / ケトン体 / ドライアイ / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
疾患モデル〔ドライアイモデル〕において1)栄養制限(絶食、間欠絶食)を施し、内因性のケトン体濃度を変動させる処置と、2)ケトン体を人為的に投与した場合の、涙液産生能、角膜機能の変化を形態学的、生理学的変化を指標に解析し、作用機序の解明を目指す。平成27年度は主に、①栄養制限時のケトン体濃度推移:正常ラットにおいて、栄養制限[間欠絶食:絶食-自由摂取のサイクルを繰り返す、単回絶食]時における、血中、前眼部組織(涙液、角膜、涙腺)内、ヒドロキシ酪酸濃度の経時的変動を測定(市販キット使用) ②ケトン体投与時血中、前眼部組織内、濃度推移:正常ラットにおいて、ヒドロキシ酪酸を皮下、腹腔内投与し、血中、涙液、涙腺、角膜内内、ヒドロキシ酪酸濃度の経時的変動を測定 ③①における、ヒドロキシ酪酸濃度推移と、②における推移を比較し、ケトン体投与により栄養制限時のケトン体濃度推移が再現可能か否かの検証を行った。 その結果、単回-間歇絶食におけるヒドロキシ酪酸血中、眼組織(角膜、涙腺)及び涙液濃度の経時推移は、正常状態においてヒドロキシ酪酸を皮下投与(用量で1日2回)することにより、再現可能(ピーク濃度、AUC換算、反復時の消退の有無より再現可能)であることが、明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
正常動物において、栄養制限時のヒドロキシ酪酸濃度の経時的変動を、ヒドロキシ酪酸を皮下投与することにより、人為的(栄養制限を行わず)に再現できたことから、疾患モデル〔ドライアイモデル〕での検討に移行可能である由。また、疾患モデル〔ドライアイモデル〕及び眼科領域の評価手法に関しても、既に確立済みである。
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今後の研究の推進方策 |
疾患モデル〔ドライアイモデル〕を用いて、間歇絶食、反復ヒドロキシ酪酸の皮下投与を行う。ケトン体のドライアイ。モデルは、確立済みの、視覚情報端末の過度の使用を模倣した、ラット瞬き減少型ドライアイモデルを用いる。先ず、ドライアイ発症過程において、間歇絶食を行い、ドライアイ(角膜上皮障害、涙液減少)状態が緩和されるか、検証する。次いで、同モデルを用い、反復ヒドロキシ酪酸の皮下投与により、間歇絶食のケトン体動態のみを全身性に再現させ、ドライアイ(角膜上皮障害、涙液減少)状態の緩和が、間歇絶食と同様に起こるか否かを確認する。処置期間、ドライアイ状態の検査頻度は慎重に予備検討を実施し、設定する。予備的に本モデルにおいて、短期間の間歇絶食により、ドライアイ(角膜上皮障害、涙液減少)状態が緩和されることを確認しており、研究の実現性は高いと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画に対し、実験回数(使用動物数)が少量にて、当該度計画を遂行可能であったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度は、より迅速に計画を遂行するため、本額を請求、支出する。 その内容は、実験動物使用とする。
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