メタボリックおよびロコモティブシンドロームに対する食事・運動療法の効果を明らかにするため、血液および尿中の関連検査項目の変動に及ぼす普通食摂取下、または、脱脂粉乳添加食摂取下での運動の影響を比較検討した。 男子大学生7名を被験者として、6日間から構成される2回の実験([普通食]期3日間→[普通食+運動]期3日間、[普通食]期3日間→[脱脂粉乳添加食+運動]期3日間)をクロスオーバーで実施した。[普通食]期では、被験者に日本人の食事摂取基準(2015年版)に準じた体重維持レベルの規定食を摂取させた。運動日には、被験者に低強度(午前)と高強度(午後)の自転車エルゴメーターによる運動を負荷した。運動で消費した付加エネルギーについては、[脱脂粉乳添加食+運動]期では、被験者(体重60kg用の基準食の場合)に脱脂粉乳を朝食・昼食・夕食時に各々牛乳200mlに相当するエネルギー分(402kcal/日)追加摂取させて補充した。[普通食+運動]期では、脱脂粉乳の代わりに糖質と脂質のみで構成されたクッキーとサイダーを追加摂取させて補充した。 実験期間中の毎日の尿を採取し、[普通食+運動]期、[脱脂粉乳添加食+運動]期の前後の早朝・空腹時に血液を採取した。 尿中C‐ペプチド排泄量は、[普通食+運動]期で有意に減少し、[脱脂粉乳添加食+運動]期では変化しなかった。血清トリグリセライド値、RLP-コレステロール値は、両運動期で有意に低下した。一方、血清尿素窒素値、血漿分岐鎖アミノ酸値、尿中ノルアドレナリン排泄量が[脱脂粉乳添加食+運動]期で有意に増加したが、尿中3-メチルヒスチジン排泄量は両運動期の間に差を示さなかった。血清IGF-1値は、両運動期で有意に低下した。 前年の結果を考え合わせると、運動がインスリン節約作用とともにたんぱく同化作用を発揮する機序については、さらに検討が必要である。
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