研究課題/領域番号 |
15K00863
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研究機関 | 神戸松蔭女子学院大学 |
研究代表者 |
武智 多与理 神戸松蔭女子学院大学, 人間科学部, 准教授 (10410953)
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研究分担者 |
高村 仁知 奈良女子大学, その他部局等, 教授 (70202158)
畠中 芳郎 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, その他部局等, その他 (00416306)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 機能性食材 / 有効利用 / 付加価値を高めたパン / グルテンフリー米粉パン / 増粘多糖類 / 小麦アレルギー / グルテン不耐症 |
研究実績の概要 |
食生活の欧米化により多くの日本人がパンをよく食べるようになったことに伴い、アレルギーやグルテン不耐症などの疾患、カロリー摂取過多、米余り現象など多方面での問題が浮上し、対応が強く求められている。一方、私たちの身近には、玉ねぎの皮のように貴重な機能性成分を含みながら、ほぼ未利用で廃棄されている食材が存在する。本研究は、それら廃棄食材の機能性成分を有効利用して、パン食が進んだことによる諸問題を解決し付加価値を高めたパンを開発することを目的としている。 初年度は、小麦アレルギーやグルテン不耐症、米余り問題などを解決できるグルテンフリー米粉パンの開発に着手した。米粉パンの問題点は、膨化不足を主原因として消費者が好むパンの食感をえられないこと、および老化しやすいことである。まず、米粉パンの膨化性についての情報収集を行い、膨化には生地の粘性とデンプンの膨潤が重要な因子であるという情報を得た。 そこで、米粉パンの膨化性と粘度の関係を明らかにすることを目的として、パン生地の粘度および膨化度と焼成パンの品質を比較検討し、パン生地の粘度とグルテンフリー米粉パンの膨化性との関係を解析した。 並行して、米粉パン生地調製の工程において、生地粘度を高め維持するために有効な増粘多糖類について調査、実験も含めた検討を行い、ペクチンやセルロースなどの食物繊維が有効であることを確認した。次に、それらの有効成分を多く含む廃棄食材について探求し、それらを添加したグルテンフリー米粉パンの製造を試みている。廃棄食材そのままの形状で添加することは難しいため、添加時の形状や添加可能な上限量の検討を行った。その後、食パンを調製し、物性値の測定に着手したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、身近な廃棄食材の機能性成分を有効利用して、パン食が進んだことによる諸問題を解決し付加価値を高めたパンを開発することである。初年度の研究実施計画は、利用する廃棄食材の検討を行い、小麦粉未使用の米粉パンの開発に着手することであった。 現在までに、開発を行うパンの種類をグルテンフリー米粉パンと決定し、米粉パンの問題点である膨化不足の要因を調査・分析し、主要因である粘度とパンの膨化性の関連をほぼ明らかにすることができた。また、パン生地の粘性を高めるために有効な増粘多糖類、および利用可能な身近な廃棄食材を検討し、利用する廃棄食材を数種類選定して、それらを添加したグルテンフリー米粉パンの製造を試みている。以上のことから、初年度の研究計画に沿って概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き米粉パンの膨化性と粘度の関係を明らかにするための実験を進め、米粉パン生地調製の各工程において、生地粘度を高め維持するための最適条件を見出す。 引き続き身近な廃棄食材を添加したグルテンフリー米粉パンを調製する。添加時の形状や添加可能な上限量の検討はほぼ完了したので、調製した食パンの物性値(生地の膨化度、生地の粘度、比容積、パン断面の観察、糊化度、色、テクスチャー)の測定および官能評価を行い、最適添加量を検討する。おいしくて品質の良いグルテンフリー米粉パンの開発を目指す。 研究成果を国内学会に発表する。また、学術論文執筆に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では既存のテクスチャー測定器の使用を見込んでいたが、使用できない事態が発生した。50万を超える物品であり、翌年度の購入予定としたため、今年度分を次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
食パンの物性測定のため、テクスチャー測定器および自動解析装置の購入を予定している。
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