研究課題/領域番号 |
15K00872
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研究機関 | 龍谷大学 |
研究代表者 |
植野 洋志 龍谷大学, 農学部, 教授 (30241160)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 減塩 / 塩味増強効果 / GABA / GAD / 香辛料 |
研究実績の概要 |
研究目的では,GAD67組換え体タンパク質の発現系の改良,香辛料抽出物のGAD活性への効果,GAD67とGAD65との反応性の違い,GAD67活性化する香辛料抽出物を用いることで減塩調理の味覚改変効果の検討を挙げた.GAD67組み換えタンパク質は,GST-GAD67,GAD67-His6という形で発現ベクターを作成し,大腸菌を形質転換して発現し,部分精製して研究に供してきた.香辛料抽出物は,引き続きライブラリー化を目指し,継続して行っている.数十種類におよぶスクリーニングは完了した.その中で顕著にGAD67活性を上昇させるものは,官能試験を行い,塩味増強効果を示すか否かを検討した.塩味増強効果を示した香辛料抽出物は,パンなどの調理に供した.従来のレシピで用いる食塩量を半分にし,スクリーニングと官能試験で良好な結果を得た香辛料抽出物は,パンそのものに味の変化を与えない程度の少量だけ食塩の代わりに添加してパンを製造し,官能試験に供した.その結果,食塩をレシピ通りに加えたものと比較しても良好な官能試験の評価を受けたので,本研究にて目指してきたGAD67活性への効果と塩味増強効果との関連性を支持する結果であると考えた.これらの香辛料が与える効果はGAD67とそのアイソフォームであるGAD65に同様な結果を与えるのか,または,アイソフォーム間で異なる効果になるのかを検討した.GAD65に関しても組換え体タンパク質として発現系を構築した.今回,検討の対象としたのはHis-tag付きで発現したタンパク質である.その結果,50種類ほどの香辛料の存在下で酵素活性への影響を検討したところ,同じ効果,活性化と不活性化がまったく異なるものなど様々な結果となった.よって,統一的な見解を導き出すにはいたらなかったが,香辛料成分のGAD活性への効果は,それぞれ独立して検討する必要があることが理解できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新設の農学部に赴任したため,計画時に頼りにしていた卒論生などの戦力が足りなく,自身の時間配分が期待以上にうまくゆかなかった.そのあたりの問題点は次年度では解決したい.
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今後の研究の推進方策 |
継続して香辛料を含む天然物の塩味増強効果の検討を続ける.また,細胞内の塩味情報伝達機構の解明に迫れるように,タンパク質化学的研究に力を注ぐ.さらに,調理による減塩食への取り組みも行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
残金が小額で予定していた消耗品の購入には不足したことにより,次年度に購入することにしたため.
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品と研究補佐業務への謝金として使用を計画している.
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