香辛料には,独特の味覚を提供する以外に,酵素に働きかけてその活性を制御する機能を持つことを示してきた.そのなかで塩味受容体を発現しているIII型味蕾細胞内に発現が確認されているグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD67)の活性制御がある.GAD67を活性化する香辛料抽出物には塩味増強効果がみられ,減塩効果が認められる.調理学には少量の塩で,甘味やうま味を増強する効果(対比効果)が知られているが,香辛料の塩味増強効果は,この対比効果に関与し,減塩しても香辛料成分の存在でうま味を維持できることになる.そこで,減塩パンなどに適用することで,香辛料成分の減塩効果を示し,今後の減塩食につながると考える.
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