研究課題/領域番号 |
15K00875
|
研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
乗鞍 敏夫 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (40468111)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | アミノ酸分析 / ケルダール分析 / アミノ酸成分表2015 / 栄養価計算 / 食品成分 |
研究実績の概要 |
我が国はアミノ酸成分表の整備と妥当性の評価が不十分であるため、日本人が日常的に食事から摂取しているアミノ酸に関する報告が不足している。さらに、我が国のたんぱく質は、国際標準として推奨されているアミノ酸組成から算出することができておらず、ケルダール法を用いて算出しているため、海外の研究報告と系統誤差(バイアス)が生じている。 アミノ酸成分表2010では337食品であった収載食品数が、アミノ酸成分表2015では1221食品へと大幅に増加したが、このうち実際にアミノ酸分析を行ったものは約230食品に過ぎず、その他は外国の成分表や類似食品から推測した値(置き換え)となっている。そこで、本研究はアミノ酸成分表2015の発表(2015年12月)を機に、アミノ酸成分表2015を用いたアミノ酸とたんぱく質の算出法の妥当性を化学分析値から評価することを目的とする。 H27年度は食品成分表およびアミノ酸成分表を発表している文部科学省の公定法を用いて、多検体(高齢者福祉施設が提供する給食)の効率的な化学分析法の準備とその分析法の妥当性の評価を行った。特に、化学分析に供する試料の前処理法(脱脂・微粉末化)は示されていないため、添加・回収実験により試料の前処理方法を検討した。また、アミノ酸配列が既知であるBSAと、アミノ酸成分表に収載されている脱脂粉乳を用いてアミノ酸分析の妥当性評価を行った。この結果、アミノ酸成分表の公定法に生じている系統誤差を把握することができ、公定法と同じ系統誤差を生じるアミノ酸分析を実施できる体制を整備することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多検体(高齢者福祉施設が提供する給食)を効率的に化学分析(たんぱく質とアミノ酸)する方法を検討した。たんぱく質の分析は、分解装置、ケルダール自動蒸留装置を導入し、分析の偶然誤差(変動係数)と系統誤差(表示ラベルと食品成分表の収載値)を評価した。アミノ酸分析は、1つの検体につき3種類の加水分解法(酸加水分解法・アルカリ加水分解法・過ぎ酸酸化加水分解法)を要する。よって、検体数の3倍の加水分解を行う必要があるため、多検体を効率的に加水分解する準備を行った。アミノ酸分析法は、(第1段階)検体の脱脂粉末化(第2段階)加水分解(第3段階)HPLC分析の3つの段階から構成されている。そこで、本年度は、各段階で生じる偶然誤差、系統誤差の評価しながら多検体(高齢者福祉施設が提供する給食)を効率的に化学分析(たんぱく質とアミノ酸)する方法を確立することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
H28年度以降は、食事から摂取するアミノ酸とたんぱく質について、アミノ酸分析法を用いて算出した値を比較基準(ゴールド・スタンダード)として、アミノ酸成分表2015を用いて算出した値の妥当性を評価する。また、食品成分表2015に掲載のたんぱく質(ケルダール法から算出)との系統誤差を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究経費として執行しにくい端数の残額が生じたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費として有効活用する。
|