障がい者支援施設では、栄養ケアの提供に関する科学的根拠の不足が大きな問題となっている。基礎代謝量、1日総エネルギー消費量(二重標識水法)及び身体活動レベルに関する研究は、健常者では小児から高齢者まで行われているが、障がい者では国内外ともにほとんど着手されていない。障がい者の健康管理や栄養ケアの提供については、2009年の障害福祉サービス報酬改定において、個別の障がい者の栄養・健康状態に着目した栄養ケアの提供が栄養マネジメント加算として評価されることになったことから、適切な栄養ケアの提供に必要な根拠データの蓄積が急務である。そこで、本研究では、障がい者 支援施設に入所の身体障がい者を対象に基礎代謝量、1 日総エネルギー消費量(二重標識水法)及び身体活動レベルの特性を解明し、栄養ケアに有益な根拠データを提示することを目的とした。 平成29年度は、障がい者支援施設に入所中の身体障がい者、8名(男性:7名、女性1名)を対象とした。対象者には、研究を開始する前に、研究内容について詳細を説明したうえで、文書で同意を得た。二重標識水法による1日総エネルギー消費量の測定期間は、14日間とした。初日(Day0)にベースラインとなる尿サンプルを採取し、基礎代謝測定及び身体計測を実施した。その後、二重標識水を投与し、投与後1日目(D1)、2日目(D2)、14日目(D14)、15日目(D15)に尿サンプルを採取した。食事調査及び生活活動調査は、二重標識水法による1日総エネルギー消費量の測定期間中の平日2日、休日1日、計3日間で実施した。
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