研究課題
本研究では、予想不可能な加工食品の劣化や汚染状況の把握に新たなアプローチとして、ビッグデータ化モレキュラー解析を提唱し、その実用性への基盤構築を目指すこととする。具体的には、LC/MSの検出イオンを利用して、各種食品のパターンを解析することで、特徴づけを行い、それらに対して、統計的(多変量解析)差異が観察されるのか判断することにある。分析条件では、逆相系ODSおよび親水性相互作用HILICのカラムを用い、両方の結果を合算してデータとして用いた。ピーク数としては、約2000以上のものを採用した。PCA上の再現性として、いずれもRSDが15%以下であった。今回、粉ミルクなどの一定品質を担保している加工食品を用いて、パターン解析を実施した。異物混入(農薬、金属など)の粉ミルクでは、従来のものと明らかにPCA変化が観察され、従来のグループとは逸脱した結果を得ることができた。具体的には、メラミンでは、2010年に中国で汚染事例があったものも、10ppm以上で判別することができた。次に、農薬類としては、メタミドホス、マラチオンなど、対象とするすべてのものでPCA判別が可能であった。金属類は、鉛、水銀、カドミウム、ヒ素で検討を行った。その結果、ヒ素では判別が困難であったが、それ以外は、PCAで判別可能であった。いずれも、多変量解析によるPCAによって、グループ化判別ができることを立証した。今後は、微生物や劣化などへ拡大範囲することを目指す。
2: おおむね順調に進展している
本年度では、実検体(粉ミルク)を用いたパターン解析と異物混入事例を対象とし、多変量解析など実施することができた。
今後は、更なる汚染実態を拡大し、劣化試験や微生物汚染など、従来想定される食品汚染へ拡大することとする。
次年度使用する装置購入のため、次年度使用額が生じた。
平成29年度に使用する前処理装置を購入する。
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J. Sci. Food Agric.
巻: 96 ページ: 3876-3881
10.1002/jsfa.7584