研究課題/領域番号 |
15K00888
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
木村 敦 日本大学, 危機管理学部, 准教授 (90462530)
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研究分担者 |
井上 智雄 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (40307666)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食行動 / コミュニケーション / 社会的認知 / 食事環境 |
研究実績の概要 |
本研究は社会心理学と情報工学の分野横断研究により、食事内容が対人コミュニケーションに及ぼす効果を実験的に解明することを目的として実験・調査を実施している。H28年度は年度当初の計画に基づき、ソーシャル・ネットワーク・サービス (SNS) での食事写真投稿に関する調査の実施 (対象者: SNSを利用している10代300名規模)、入院患者や高齢者を対象とした社会的相互作用を含む食事環境とQOLの関係に関する分析、食品や食事環境がコミュニケーションに及ぼす影響に関するこれまでの実験結果の成果発表 (現在、食行動科学を扱う国際誌に投稿中)、社会的認知が食品の摂取や評価に及ぼす影響のレビューをまとめた学術図書の出版、H28年に研究代表者の異動があったため異動先での食行動実験室の整備、および今後実施するコミュニケーションが認知高齢者の食品摂取に及ぼす影響についての実験の準備を推進した。なお、調査や実験の詳細は未発表のため詳述を避けるが、今後学会等で発表予定である。また、成果の社会的還元の一環として、食とコミュニケーションに関する一般向けの情報発信についても積極的に取り組んだ。たとえば、研究代表者は別紙に示す研究業績の他にWebビジネスメディアJapan Business (JB) Pressに「食の環境は食をどう変えるか」と題したインタビュー記事が2回にわたり掲載されたり、女子栄養大学が発行する月刊誌「栄養と料理」に「メニュー選びの心理学」と題した特集記事を寄稿するなど (2017年5月号に掲載)、当初の計画以上に成果の発信・社会還元を行うことができたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者、研究分担者とも食コミュニケーションに関する研究の実施・成果発表を行っており、概して順調に進んでいるといえる。とくに成果の社会的還元については、学術図書執筆に留まらず、WEBビジネスメディアでのインタビューや、管理栄養士など食に現場に携さわる人々を対象とした講演での研究成果紹介など、多方面への成果還元ができたといえる。ただし分析したデータについて現状未発表の部分もあるため、平成29年度にそれらの成果公開もできるよう研究を継続してゆきたい。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度は研究プロジェクト最終年度にあたるため、現在実施中である高齢者の食コミュニケーションに関する研究について速やかにデータ収集を行い、成果を学会等で速報する。また、これまで進めてきた研究について多面的な解析を行うとともに総括し、食品や食事環境がどのようにコミュニケーションツールとして人間同士の社会的相互作用に影響を及ぼすかについて考察を深め、その成果を学術誌や一般向けメディアに発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
高齢者施設等で食コミュニケーションに関するフィールド実験を実施する上で実験データ収集や分析に用いるノートPCを購入する予定であったが、冬期の感染症リスク等を考慮しフィールド実験の実施が2017年5月以降となった。そのため、ノートPCの購入もH29年度に延期したため。
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次年度使用額の使用計画 |
前述の通り、フィールド実験で使用するノートPCの購入にあてる予定。
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