研究課題/領域番号 |
15K00891
|
研究機関 | 松本大学 |
研究代表者 |
広田 直子 松本大学, 大学院 健康科学研究科, 教授 (60218857)
|
研究分担者 |
白戸 洋 松本大学, 総合経営学部, 教授 (00320945)
熊谷 麻紀 松本大学, 人間健康学部, 助手 (00757552)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 異世代間ネットワークづくり / 地域内 / 高校生 / 食生活改善推進員 / 低栄養予防 / 牛乳・乳製品 / 介入の有無による比較 |
研究実績の概要 |
平成28年度の計画では、27年度に確立した教育及び評価方法に基づいて、長野県内3地域で年間5回の講座を実施し、プロセス評価とアウトカム評価を実施して成果に関する分析を進めるとしていた。 平成27年度の高校3年生と食生活改善推進員(以下、食改)が参加した食生活講座の活動は、主に近年問題となっている高齢者の低栄養、骨粗鬆症等の予防につながる食生活について考えるきっかけづくりをねらいとし、題材として牛乳・乳製品を取り上げ、牛乳・乳製品のイメージや利用意欲等が変化したかを含めて検証した。具体的には、高校生、食改それぞれについて、当初計画通り3回の講座を実施した介入群、1回のみの準介入群および対照群を設け、「牛乳・乳製品のイメージ」得点の事前と事後の変化を分析したほか、自由記述内容についてテキストマイニングを進めた。 平成28年度には、上記のように実施した平成27年度の研究について、研究成果報告書をまとめ、長野県全体への普及を図る手立てを整えた。さらに、この報告書の冊子を長野県教育委員会、長野県健康福祉部健康増進課をはじめとした関係組織・機関に送付し、研究趣旨の周知を図り、併せて、活動実践のネットワークの拡大に努めた。また、この活動を全国へ発信するために、学会等で研究成果発表を行った。 平成28年度の新たな活動としては、長野県内1地域で年間3回の講座を実施し、成果に関する分析を進めた。平成27年度の活動に基づきつつ、地域内でのネットワーク構築に関する評価を加えるため、高校2年生を対象として、活動で修得した知識や意欲、スキルなどの事後の継続性について、平成29年度に評価できるようにした。また、高校生が自らの活動に対する自己効力感を高めることをねらいとして、食改ユース組織の認定証を交付するという試みを行った。この成果については、次年度評価していくことになる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度には、研究初年度である平成27年度の活動内容を基本として、同年度末に実施した活動希望調査アンケートに基づいて、長野県内3地域で年間5回の講座を実施し、プロセス評価とアウトカム評価により成果に関する分析を進めるとしていたが、高校生と食生活改善推進員が参加する食生活講座は、実際には1地域における3回の実施に留まった。 しかし、その活動は、平成27年度よりもブラッシュアップさせることができた。すなわち、活動で修得した知識、態度、スキルなどが次年度になっても定着しているか、食生活改善推進員とのネットワークはどのような状況になっているのかを検証できるよう、高校2年生を対象としたプログラムとして実施することができた。その実施校とは、平成29年度にも引き続き活動を実施していくことになっている。 また、平成29年度には、食改ユースとして認定した高校生に、自分たちの体験した活動を他の地域へ伝えていく場が設定できるのではないかと考えている。 このような状況であることから、データ解析にやや遅れがでているものの、研究は概ね順調に進捗していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度・28年度に実施した研究活動について、この2年間に収集したデータの解析を進めつつある。これらの評価結果に基づいて見出された課題を踏まえ、更なる活動の充実と研究の推進を図る。 平成28年度に実施した高校では、平成29年度に、平成28年度に2年生として活動を行った3年生を対象として、活動後、数か月が経過した時点での評価、および、食改ユース認定証の交付を受けたことによる自己効力感の向上に関する評価を実施していく。効果の検証と共に、平成28年度の実施方法に基づき、新たな高校で実践活動を行う予定である。その際、食改ユースの認定を受けている生徒が他校の生徒に活動報告を行う、高校生が食改の会合等に出向いて活動紹介の発表をする、などの機会を積極的に設け、異世代間のネットワークの拡充と強化を図っていく。 これらの研究活動の成果発表の場として、高校生による成果公表の場を設けるほか、研究申請者は引き続き活動報告書による県内外の関係機関への発信と、学会における全国レベルでの研究成果の公表を進めていく。また、本年度はこれまでの活動成果に関して論文としてまとめ、学術誌への投稿をめざす。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の理由としても記載しているが、本研究においてこの科研費を申請する前に、研究の一部について申請を行っていた他団体の学術研究助成の採択を受けたため、研究初年度の平成27年度はこの科研費の支出の削減を図ることができ、本年度分に繰越となっていた。 さらに、本年度の支出に関しては、当初、データ解析の委託等の支出を見込んでいたが、それを外部委託せずに、学生アルバイトにより行うことができたことから、経費の削減を図ることができた。また、平成28年度は、当初予定した長野県内3地域で年間5回の講座が、1地域3回の実施に留まったこともあり、予定よりも支出は少なく未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、平成28年度に食改ユースとして認定した高校生たちに、他校に出向いて活動報告を行う、食改の会合等に出向いて活動内容に関する発表を行うなどの活動を積極的に行ってもらう予定である。そのための交通費や引率教員の旅費などの支出が生じると考えられるため、その関連の支出を予定する。 また、昨年の活動成果報告書は関係者に好評であったことから、新しい成果の公表にあたって、新たに報告書をまとめ冊子を作製する経費をして使用する。また、研究成果の論文化を進めていくことから、国際誌への投稿料等も含めた支出として使用する予定である。
|