| 研究課題/領域番号 |
15K00896
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| 研究機関 | 京都女子大学 |
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研究代表者 |
川添 禎浩 京都女子大学, 家政学部, 教授 (00224783)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 食品 / 衛生 / 健康食品 / 血糖降下薬 / 相互作用 |
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| 研究実績の概要 |
健康食品の安全性を考える上で、健康食品に最も期待される効果と医薬品の効果が相互作用するのではないかという問題がある。しかし、さほど期待されない健康食品の効果と医薬品の効果が相互作用する可能性はないのだろうか。本研究では、健康食品と医薬品の予期せぬ相互作用の研究モデルとして、主作用以外に血糖降下作用をもつ健康食品と血糖降下薬を併用した際の相互作用の可能性を検討した。
これまでの研究で、実験動物マウスにおいて、アロエ健康食品の素材のアロエパウダーの20%添加飼料を7日間与え、その後血糖降下薬のトルブタミドを経口投与すると、トルブタミド群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミド群は血糖値およびトルブタミドの血中濃度が低下する傾向が見られた。しかし、トルブタミドの腹腔内投与では、血中トルブタミド濃度に差は見られなかった。これらの結果を踏まえ、トルブタミドの血中濃度の変化に関する薬物動態学的解析を行った。トルブタミドの経口投与の場合、トルブタミド群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミド群は薬物動態パラメータのC max（最大血中濃度）とAUC∞（血中濃度曲線下面積）が減少したが、トルブタミドの腹腔内投与の場合、差は見られなかった。よって、アロエパウダーはトルブタミドの吸収を減少させ、血中トルブタミド濃度を低下させたと推測される。
健康食品に用いられる生薬のニンジンについても、アロエパウダーと同様に10%添加飼料をマウスに与え、トルブタミドを経口投与し、血糖値の変動を調べたところ、トルブタミド群と比較して、ニンジン＋トルブタミド群の血糖値が低下する傾向が見られた。そこで、次に10%よりも低い用量の5%添加飼料を用い、経時的に血糖値の変動を調べた。その結果、ニンジン＋トルブタミド群の血糖値は30分経過後に低下が大きく、トルブタミド群より低くなった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究で、実験動物マウスにおいて、アロエ健康食品の素材のアロエパウダーの20%添加飼料を7日間与え、その後血糖降下薬のトルブタミドを経口投与すると、トルブタミドのみの単独投与群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミドの併用投与群は血糖値およびトルブタミドの血中濃度が低下する傾向が見られた。しかし、トルブタミドの腹腔内投与では、血中トルブタミド濃度に差は見られなかった。そこで、トルブタミドの血中濃度の変化に関する薬物動態学的解析を行ったところ、トルブタミドの経口投与の場合、トルブタミド群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミド群は薬物動態パラメータのC max（最大血中濃度）とAUC∞（血中濃度曲線下面積）が減少したが、トルブタミドの腹腔内投与の場合、差は見られなかった。よって、アロエパウダーはトルブタミドの吸収を減少させ、血中トルブタミド濃度を低下したと推測される。
また、健康食品に用いられる生薬のニンジンについても、10%添加飼料をマウスに与え、トルブタミドを経口投与し、血糖値の変動を調べたところ、トルブタミド群と比較して、ニンジン＋トルブタミド群の血糖値が低下する傾向があったことから、10%よりも低い用量の5%添加飼料を用い、血糖値の変動を調べた。その結果、ニンジン＋トルブタミド群の血糖値は30分経過後に低下が大きく、トルブタミド群より低くなった。
以上の、アロエパウダー＋トルブタミドの併用投与の場合の血糖値の低下とトルブタミドの血中濃度の低下の関連性、およびニンジン＋トルブタミド併用投与の場合の血糖値の低下について総合的に考察するには、結果の詳細な検討、更なる実験が必要と考えられる。
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| 今後の研究の推進方策 |
アロエ健康食品に関して、実験動物マウスにおいて、アロエパウダーの20%添加飼料を与えた後、血糖降下薬のトルブタミドを経口投与すると、トルブタミドのみの単独投与群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミドの併用投与群は血糖値が低下する傾向が見られた。そのメカニズムを解明するため、併用投与の場合のトルブタミドの血中濃度を調べたところ、トルブタミド群と比較して低下する傾向が見られ、トルブタミドの腹腔内投与を行った場合は、血中トルブタミド濃度に差は見られなかった。さらに、薬物動態学的解析を行ったところ、トルブタミドの経口投与の場合、トルブタミド群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミド群はC max（最大血中濃度）とAUC∞（血中濃度曲線下面積）が減少したが、トルブタミドの腹腔内投与の場合、差は見られなかった。すなわち、アロエパウダーはトルブタミドの吸収を減少させ、血中トルブタミド濃度を低下させたと推測される。しかし、併用投与の場合の血糖値の低下との関連性は不明である。今後は、アロエパウダー＋トルブタミドの併用投与群の血糖値の低下とトルブタミドの血中濃度の低下の関係を総合的に考察するために、結果の詳細な検討および必要に応じて再実験を行う。
主作用以外に血糖降下作用をもつ健康食品に用いられる生薬のニンジンに関して、10%添加飼料をマウスに与え、トルブタミドを経口投与し、血糖値の変動を調べたところ、トルブタミド群と比較して、ニンジン＋トルブタミド群の併用投与群は血糖値が低下する傾向があり、5%添加飼料を用いても、血糖値は30分経過後に低下が大きく、トルブタミド群より低くなった。しかし、結果の詳細な検討および再実験の必要性も考えられ、今後はそれを行う。
以上の検討を踏まえ、主作用以外に血糖降下作用をもつ健康食品と血糖降下薬を併用した際の相互作用の可能性を総合的に考察する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
アロエ健康食品に関して、マウスにおいて、アロエパウダーの20%添加飼料を与えた後、血糖降下薬のトルブタミドを経口投与すると、トルブタミドのみの単独投与群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミドの併用投与群は血糖値が低下する傾向およびトルブタミドの血中濃度が低下する傾向が見られたが、トルブタミドの腹腔内投与を行った場合は、血中トルブタミド濃度に差は見られなかった。そこで、薬物動態学的解析を行ったところ、トルブタミドの経口投与の場合、トルブタミド群と比較して、アロエパウダー＋トルブタミド群はC max（最大血中濃度）とAUC∞（血中濃度曲線下面積）が減少したが、トルブタミドの腹腔内投与の場合、差は見られなかった。よって、アロエパウダーはトルブタミドの吸収を減少させ、血中トルブタミド濃度を低下させたと推測されるが、併用投与の場合の血糖値の低下との関連性は不明であった。
生薬のニンジンに関して、10%添加飼料をマウスに与えた後、トルブタミドを経口投与し、血糖値の変動を調べると、トルブタミド群と比較して、ニンジン＋トルブタミドの併用投与群は血糖値が低下する傾向があった。そこで、5%添加飼料で同様の検討を行うと、血糖値は30分経過後に低下が大きく、その後トルブタミド群より低くなり、10%添加飼料の場合と血糖値の変動が違っていた。
これらの問題を解決するために、次年度に再検討を行う。
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