不規則な食事や偏りは、「食」への無関心が一因と考えられる。国を挙げて学校で食育を推進しているが、子供は日々の食事で家庭や学校で出された食物を食べており、自分で食事を選択する機会は少ない。しかしおやつは子供にとって関心が高く、自分で選択する機会がある食物である。おやつを媒体とした食育は子供に効果的であると仮説を立て、小・中学生に対する食物選択能力に及ぼす効果を検証している。また、子供の記憶や親に頼らない新しい方法を用いて評価の精度向上も目的として、おやつ選択調査を実施した。さらに異なるライフステージに食育介入を行い、介入時期の違いによる効果の差についても検討する。今年度は近畿圏内にあるA小学校1年生121名およびB中学校1年生163名を食育介入群とし、介入前調査、食育介入授業3回、介入後調査を実施した。調査は以下に示した項目であり、介入前後の項目は同じとした。 ①おやつ選択調査;栄養素密度の低いものと高いものを混在させた実物のおやつ27種類(中学生は30種類)をテーブルの上に一定の配置で並べ、子供自身におやつを入れる籠を渡し自由に選択させた。 ②家庭におけるおやつ摂取調査;家庭で子供が実際に摂取したおやつを小学生は保護者に、中学生は本人に、2日間の記録を依頼し、栄養価等を算出した。 ③簡易型自記式食事歴法質問票;子供の食習慣を調査するために用いた。 食育介入は、小学1年生、中学1年生のレベルに合わせて、おやつの種類(質)に関すること、おやつの量に関すること、おやつの組み合わせ(質と量)について実施した。小・中学生ともに介入前調査において、おやつ選択調査でおやつのエネルギー過剰、低栄養素密度の者の割合が多くみられた。小学1年生では介入後、質、量ともに有意な改善がみられ、家庭におけるおやつ摂取調査でも質と量の改善が確認できた。介入後の中学1年生については現在解析を進めている。
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