研究課題
抗原抗体反応を基盤とするマルチプレックス分析法を構築するために必要な複合抗原溶液の調製と検出感度の確認を実施した。【複合抗原溶液の調製】消費者庁次長通知「食品表示基準について」(消食表第139号平成27年3月30日)[別添] アレルゲンを含む食品に関する表示(別添3)に示される一次標準粉末を調製した。卵、乳、小麦、そば、落花生、甲殻類(エビ)の一次標準粉末に抽出用緩衝液[0.6%SDS及び0.1M Na2SO3を含有するPBS(pH 7.4)]を加え、低温条件下一昼夜撹晩抽出した。抽出液を遠心分離した後、上澄液をフィルターろ過し、標準品原液を調製した。最終濃度が各100 ng/mLとなるように、標準品原液をpH 7.4のPBSで希釈した後、0.2% BSAを含むのPBS(pH 7.4)で希釈し、卵、乳、小麦、そば、落花生、甲殻類の複合抗原溶液とした。【検出感度の確認】検出感度の確認には食物アレルギーの簡易検査において使用される市販2社のイムノクロマトキットを用いた[両キットともに100 ng/mL以上(被検食品当たりに換算した場合約2 ppm以上)の濃度で検出可能]。複合抗原溶液を用いた確認試験を試みた結果、同濃度の単一抗原溶液と比較して小麦、そばを除く特定原材料の検出感度が低下した。複合抗原溶液の濃度が上昇することによりプロゾーン現象が生じることが懸念されたことから、固相化抗体量を調整することで検出感度が改善できると考えられた。他方、加工食品における表示の閾値が10 ppmとなっているため、検出感度が閾値を上回る場合には、マルチプレックス分析における特定原材料の組み合わせを再考する必要があるため追加の検討を実施する。
2: おおむね順調に進展している
所期の計画を鑑みて、研究の進捗状況としては概ね順調に進展している。加工食品における食物アレルギー表示制度に可能な限り準拠することを目標とし、消費者庁次長通知「食品表示基準について」(消食表第139号平成27年3月30日)[別添] アレルゲンを含む食品に関する表示(別添3)に示される一次標準粉末(卵、乳、小麦、そば、落花生、甲殻類)の作成に必要な原材料の入手に時間を要した。
最終年度はイムノクロマトグラフィーを基盤とするマルチプレックス分析法、及び磁気ビーズと発色系プローブとを利用した簡易分析法を構築し、そのオンサイト分析における有用性を評価して課題を抽出する。
研究計画の効率化を図り、試薬等消耗品の購入を必要最小限に留めた。次年度使用額は当該年度の所要額に対して1%未満(執行率99.4%)である。
次年度の試薬消耗品の購入に充てる。
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