初等・中等教育過程の生徒に理数系教科の面白さを教え、将来科学技術分野で日本を背負って立てるような人材を育てることを目指し、折り紙と3Dプリンターを用いた魅力ある教材の開発を行ってきた。平成29年度も折紙に関する講習会(模擬授業)を10回以上行った。内容は、折り紙の歴史から始め、折紙が工学、医学、数学など学術的な方面でいかに活用されているかを講義した。また、実際にミウラ折り、円筒折りを生徒達にやらせた。非常に好評であり、講義のあと質問に来る生徒も多数いた。一方、3Dプリンターに関しては、文科省が3Dプリンターの高等学校、中学校への導入をやめたので、学校に出向いて実地に指導することができなかった。しかし、やがて必ず導入される時期が来ると考えられるので、「折紙モデルを基にした3Dプリンターで造形できるモデル」を記した冊子を前述の講義時に紹介し、希望者に配布した。冊子の内容としては、① 幾何学の最も基本である正多面体、アルキメデスの多面体の製作方法、② 折紙では製作に時間がかかるが、3Dプリンターでは一度stlファイルを作れば、自動的に製作できるというメリットを生かした空間充填構造物、③折り紙で作るのは困難な、あるいは時間がかかるフラクタル構造 ④ 折り紙で作ると手間がかかるノーモン(3Dプリンターで作る際には1パーツだけstlファイルを作れば、あとは一定の倍率で、拡大・縮小するとすべてのパーツができる) ⑤ 幾何学パズルの作製。例えば、正方形をある個所で分割すれば正3角形に変換できるパズル などである。作図に時間がかかる、製作に時間がかかるなど折紙が苦手とする部分を3Dプリンターで補完できるような冊子になっている。
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