研究課題/領域番号 |
15K00920
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
松本 一郎 島根大学, 教育学研究科, 教授 (30335541)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 理科野外学習 / 自然環境教育 / 環境教育 / 防災・減災教育 / 科学リテラシー / 環境・防災リテラシー / 単元学習 |
研究実績の概要 |
本研究は理科野外学習において自然の恵みと災いを実感し、理科学習を中心とした環境教育・防災教育の新しいスタイル及び学習プログラムを理科授業の中に確立することを目指して行っている。平成28年度は、研究3ヶ年のうちの2年目にあたり基本的に初年度(平成27年度)に行った実践教育・研究を再実施・確認し、最終年度に向けての理論化に向けてのデータ収集が主な内容であった。具体的平成28年度は、地域の小学校を中心に小学校第5学年単元「流れる水のはたらき」、及び小学校第6学年単元「大地のつくりと変化」の野外学習支援を多数実施することをとおしてデータを収集することができた。つまり、小学校に対しては延べ18校619人に、高等学校に対しては延べ3校33名に実際の単元学習の中での野外学習を実践することができた。 昨年度プログラム化に供したフィールドは昨年に引き続き島根半島は、松江市の須々海海岸の砂泥互層の地層、及び火山岩、また出雲市小伊津海岸のやはり砂泥互層の地層を用いた。また、河川学習においては雲南市~出雲市にかけての斐伊川を用いて行った。地層学習では半日~1日のプログラム化を、また川学習では1日を使ったプログラムをほぼ開発完成させることができた。 ただ、大地の学習として、防災に関連した火山に関係した部分が比較的プログラム化・教材化が弱く、最終年度の課題として残っている。以上の学習については途中報告ながら、国内の3つの学会にて発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていた、公立学校に対する本プログラムを用いた野外学習を実施することができた。今年度は中学校に対しては実施できなかったが、昨年を越える児童・生徒数619人に対して授業実践を行う事ができた点は高く自己評価しているところである。昨年度と今年度の実践データは、主に児童・生徒の自由記述の感想文が主なものであるが、それらをもとに国内学会で発表できたことも大きく、来年度(最終年度)にむけたデータが揃いつつあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、計画当初の予定に従い過去の2年間で収集した野外での児童・生徒の科学リテラシーや環境・防災リテラシーを高める教材の理論の確立を目指す事である。加えて、得られた理論に基づいた実践の授業の在り方を示すとともに、様々な状況に応じた野外学習の実施方法について全国の教員に発信し活用してもらう事である。 具体的には最終年度の29年度は、過去2年間の野外学習を継続実施しながら、教員や教員を目指す学生・院生に本研究で明らかになった科学リテラシーや環境・防災リテラシーを高める野外学習について、実践授業の機会を設け野外学習における授業研究会、もしくは授業研修会としての性格を持たせて実施する。最終的には、理科野外学習のデザインを自然の恵みと災いを実感し学べるような教材・指導法として「青空寺子屋」と命名して全国の小・中・高等学校への普及を目指したい。
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