研究課題/領域番号 |
15K00923
|
研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
金児 正史 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 准教授 (00706963)
|
研究分担者 |
土田 理 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (10217325)
佐伯 昭彦 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60167418)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 数学と理科の総合 |
研究実績の概要 |
平成27年度に,小,中,高等学校の数学科と物理科の学習内容を,教科書を中心に精査し,角度の表記法である度数法(1°,2°などの角度の表記法)と弧度法(半径rの円周上に長さrをとったときの中心角をもとの量とする角度の表記法)が,高等学校数学と高等学校物理で混在していることを突き止め,学習者の混乱の原因になりかねないことを明らかにした.なお,三角比やベクトルの指導を組み込んだ,物体にはたらく力のつり合いの学習について,日本科学教育学会(ホルトホール大分)で,口頭発表した. 平成28年度は,数学で物理の学習内容を,あるいは物理で数学の学習内容を取り入れた,数学Ⅱの弧度法の授業と物理の単振動の授業の指導案の原案を研究代表者が作成した.さらに,指導案の原案をもとに,授業予定者の先生方と指導案を修正した.これらの修正した指導案に沿って,選抜性の高い大学を受験する生徒が多い高等学校で実践授業を行った(この実践授業の考察は,平成29年度の日本科学教育学会で口頭発表予定).選抜性が高い大学受験する生徒が多い高等学校を選んだのは,数学Ⅱと物理履修者が一定数いることを前提としたかったからである.実践授業から分かったことは,生徒は数学と物理を別の教科と捉えている認識がかなり高いこと,弧度法のよさに気づく生徒が多くないことである. さらに,平成28年度中に,高等学校の数学科と物理科の教員(現在は固定メンバー)が参集する研究会を毎月開催することができるようになった.この研究会では,数学科と物理科の先生方が,それぞれの指導内容を知り,協力して授業づくりをしていく素地づくりと位置づけていて,共働した指導案づくりが実現しつつある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の開始時に提出させていただいた平成28年度以降の具体的な研究実施計画・方法に明示した,数学と理科を総合する教材の開発,開発教材を用いた学習指導案の立案と実践授業の実施,授業研究成果の公表,科目を総合する学習指導の開発はおおむね計画通りに進展している.平成27年度は,小,中,高等学校の教員と直接お会いして指導案の検討や授業実践の依頼を行うことが難しかったが,平成28年度は,定期的に研究会が開けるようになり,高等学校の数学科と物理科の教員との連絡・調整はスムーズになってきている.定例的に実施できるようになった研究会の設置は,当初の計画以上に進展している点である.
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度も,交付申請書に記載した研究実施計画・方法に沿って,研究を進めていく.また,平成28年度中に実践した授業から見える知見について整理検討し,研究発表にとどまらず,雑誌論文に投稿して,成果を公表していく. なお,平成28年度から毎月実施しはじめた,高等学校数学科と物理科の教員による研究会を確実に軌道に乗せる.またこの研究会に,できれば平成29年度中に,中学校数学科と理科の教員を取り込み,異校種間の連携・接続も意識した研究会に発展させていく予定である.
|