研究課題/領域番号 |
15K00924
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
飯野 直子 熊本大学, 教育学部, 准教授 (80284909)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 活用型学習 / 探究学習 / 大気環境 / 熱環境 / 環境データ / アーカイブ |
研究実績の概要 |
児童・生徒にとって身近な地域の大気・熱環境を題材として,理科の学習で習得した知識や概念を活用しながら総合的に考察・分析し解釈して自分の考えを持って表現する理科学習活用型学習プログラムを開発することを目的として,以下の研究を実施した. 簡易測定器を用いて通年で連続測定を行って得られた大気中二酸化炭素濃度データを分析して,都市域(熊本市)における大気中二酸化炭素濃度の日変化のパターン分けを行った.また,簡易測定器やGPSロガーを実際に持ち歩いて熊本市街地の大気中二酸化炭素濃度を移動測定し,場所や周囲の環境変動による濃度の変動を考察した.連続測定と移動測定の結果をもとに,小学校理科における大気中二酸化炭素濃度に関する授業案を4時間構成で作成した. PM2.5教材化のための基礎研究として,国立環境研究所の環境GISの日本全国の年平均PM2.5濃度分布(2011年度~2013年度)よりPM2.5濃度の地域性を調べた.さらに各月の月平均PM2.5濃度分布と気団との関係を考察してPM2.5濃度の季節性を調べた.また,熊本市天明測定局のPM2.5時間値データを解析して越境汚染によるPM2.5高濃度パターンの教材化に適した事例を検討した.これらの結果を用いて,中学校理科の気象に関する活用型授業の授業案を作成した.なお,簡易測定器を用いて身近な微小粒子状物質濃度の測定を試みたが,小・中学校の学習での使用にはあまり適さないことがわかった. 環境放射線の簡易測定器を用いて九州内を走行サーベイして得たデータを地形図と地質図上にマッピングし,県ごとの環境放射線線量マップ(PNG・pdf)をホームページに掲載した. 大気汚染物質のメソスケールでの移流・拡散を教材化するための基礎研究として,阿蘇噴煙の挙動を衛星画像と地上観測映像から解析し,教材化に適した事例の有無を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究計画にしたがって研究を実施し,実績概要欄に記載した成果が得られた.記載事項以外についても情報収集・データベース化が進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
大気・熱環境に関する基礎研究・データ収集および教材化・データベース補充を継続して実施する. 児童・生徒の使用に適したPM2.5簡易測定器を引き続き検討する. 九州のヒートアイランド現象の教材化のために,衛星データを解析して教材化する.また,中・高等学校の教員や生徒が各自の関心領域を解析できるようにするために,フリーの衛星データをフリーの解析ソフトを使って解析する手順書を作成する. 越境大気汚染およびメソスケールの物質輸送の教材化のために,衛星データを用いて越境大気汚染物質や火山噴煙の可視化を行い,素材・教材のためのデータベースを作成する. 環境に関する素材・教材はできるだけ新しいものを取り入れることが望ましい.新たに得られた研究成果をもとに教材化をすすめて学習プログラムの充実を図る.
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