児童・生徒にとって身近な地域の大気・熱環境を題材として,理科の学習で習得した知識や概念を活用しながら総合的に考察・分析し解釈して自分の考えを持って表現する理解進化型の理科学習活用型学習プログラムおよび既習事項や概念などをもとに課題解決していく探究型学習プログラムの開発を目的として,以下の研究を実施した. 大学生を対象として放射線に関するアンケートを実施・分析した結果,学習経験の有無によって放射線のイメージや関心に大きな差がみられることや,大学入学までに放射線測定を経験したことがある学生は非常に少ないことがわかった.そこで,中学生が安価なγ線測定器を用いて身近な環境放射線を測定する体験的活動を取り入れた,放射線に関する学習プログラムを作成した.学習プログラムには,エネルギーの観点だけでなく,気象や防災教育の観点を取り入れることにより,理科学習の活用や総合的な考察,自分自身のこととして課題を捉えて主体的・探究的に取り組めるようにした.また,大学生の放射線測定活動の様子を観察した結果,大学生でも放射線に関する素朴概念を有していることがわかった.そこで,それらの事項についても中学生向けの学習プログラムのなかに取り入れることにより,放射線に関する理解を深められるように工夫した. 小学校における微小粒子状物質の教材化を行った.目に見えない大きさの粒子状物質を取り扱うことから,発達段階を考慮して,できるだけモデル教材を取り入れて可視化するなど,児童がイメージや実感しやすくなるよう教材や学習活動を工夫した. メソスケールの物質輸送の学習用素材・教材を提供するために,桜島二酸化硫黄ガスの高濃度事象について解析した結果や噴煙観測画像を用いて作成したデジタルコンテンツや小学校高学年以上向けの教材パンフレット,関連情報を提供するためのホームページを作成した.
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