研究実績の概要 |
2015,2016年度は本研究の主な対象授業である線形代数の担当が後期のみであったため, 前期対応の動画開発は殆んど行っていなかった. 2017年度, 前期・後期通年で担当することになったのに合わせ, 空間図形, ベクトル・行列の基礎, 行列の基本変形と連立1次方程式, 逆行列, 行列式に関する前期授業内容について, 動画教材を新規に開発した. 各動画は10分前後で 56本あり, Webおよび授業支援システム(LMS)にて公開した. 2017年度より本学内の学生は学内で, スマートフォンでLMSにアクセスできるWiFiが提供されたことを利用し, 受講生には視聴を推奨し, 特に予習として自宅や学内で視聴させるようにした. また, 視聴の動機付けを与える手段として, 合格すれば高いボーナスポイントを与える予習課題をLMS内に設置した. これら予習課題の実施状況は極めて良好で, 各動画の視聴確認については, システム的には確認する仕組みはないが, 間接的に確認できたと考えられる. また, 期間を通じて, 行列に関する技能や理論的理解について, 担当学類の2組で期末試験結果の平均得点における比較から判断し, 効果はある程度あったと推察される. また, 2017年度後期においては, 学習内容が抽象化・高度化することから, 学生の理解度をより細かく把握するため, 簡単だが潤沢なLMS上の小テスト課題を開発し, 学生の授業外学習用課題やオンライン評価として利用した. 今後は, 学生の動画視聴の動機や達成感を高め, 学生のつまづきのポイントを把握でき, かつ学生の理解を深めるようなオンライン小テスト教材を潤沢に開発し, 教授学や教育工学の視点から授業設計と合わせて検証・公開していく計画である.
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