研究課題/領域番号 |
15K00928
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
奥田 宏志 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70734200)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 教員研修 / アクティブラーニング / オンライン教育 / 授業の英語化 / デジタル実験書 |
研究実績の概要 |
本研究は今後の中学・高等学校における「教科教育の英語化」を見据え、「理科教育における英語活用推進リーダー育成研修用の英語版アクティブラーニング教材」を開発し、理科教員の英語力向上への効果検証と継続的な研修における意識の変化について明らかにすることを目指している。 平成29年度は上記の目的のうち、以下の3点について調査および研究を行った。 (1)英語版アクティブラーニング教材とLMS(Learning Management System)の連携:英語版アクティブラーニング教材である「オンライン講義」と英語版「デジタル実験書」を用いた研修の効果と実施上の課題を把握するため、LMSを用いた講座・実験を高等学校で行なった。「オンライン講義」については、LMS上の視聴履歴把握等に課題があることが分かった。英語版「デジタル実験書」は前年度の課題を反映させた結果円滑に進めることができた。しかし受講生徒の英語の科学用語の知識量は一様ではなかったため、より効果的に実施するには生徒の英語力の事前把握が必要となることが分かった。(2)英語版アクティブラーニング用のデータベース開発:教材に使用する科学用語の難易度を設定するため、科学用語のテストとアンケート調査を実施した。理工系大学生を対象にテストをした結果、通常の英語テストの得点と科学用語の得点の間に相関は無かった。この結果より、通常の英語テストでは科学分野の英語力を正確に把握することが難しいことが分かった。またアンケート調査の結果、自身の英語力に対する自信にもばらつきがあることが分かった。(3)授業設計に関する教員研修プログラムの開発:研修を受けた理科教員は勤務先で英語による授業を設計するため、授業設計の方法を学ぶ研修プログラム用教材を開発した。研修を実施した結果、到達目標と評価方法、ルーブリック評価について十分に理解されていない現状が分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度 (区分) 2 : おおむね順調に進展している 理由 (1)英語版アクティブラーニング教材とLMSの連携については、研修実施・運営上での課題が発見できた。またLMSによる研修参加者の効果測定に必要な情報収集を行うことができ、予定通り進展した。 (2)「オンライン講義」「デジタル実験書」用のデータベース開発については、科学分野の英語力に関する基本情報を得ることができた。教員の科学分野の詳細な英語力と、英語による授業運営能力に関する情報に関しては十分把握したとは言えず、予定より遅れている。 (3)授業設計に関する教員研修プログラムの開発については、授業設計に必要とされる基本知識を「英語活用推進リーダー育成研修プログラム」の開始前、または「オンライン講義」として研修中に実施する必要性があることを把握できた。以上のことから、研究計画全体としては、「おおむね順調に進展している」と考えられる
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究成果をもとに、下記の研究計画で進めていく。1.理数系教員の詳細な英語力に関するアンケート調査を実施する。2.英語版アクティブラーニング教材とLMSの連携をさらに進めた研修会を実施する。3.英語による理数系分野の授業設計に関する研修プログラムに関して、得られた課題や改善点について研究協力者と議論を行う。その後、授業設計研修プログラム(完成版)を作成し実施する。4.研修参加者の英語力向上への効果の測定、継続的な研修における意識の変化について明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査の追加実施および研修会の実施時期を平成30年度に変更したことにより、次年度使用額が生じた。
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