音声生成の仕組み等を分かりやすく理解するため、子音と母音に関する模型を中心とした教材・教育プログラムの開発等を進めた。子音は、鼻音・接近音・はじき音・破裂音を出す声道模型を開発し、摩擦音についても検討を重ねた。母音は、日本語5母音、エストニア語9母音に引き続き、ニーズの高い英語も対象とし範囲を広げた。複数の子音を出す一体型模型(舌の前半分が折れ曲がるタイプ)については、毎年の改良を国際会議INTERSPEECHで報告(2017年、Best Show & Tell Paperを受賞)。見た目がより人間の顔に近いタイプでは、母音/a/の声道形状をある程度の抽象化を経て静的モデルとして製作。また、千葉・梶山著「The Vowel」に登場する屈曲した声道形状をCAD経由で3Dプリンタ出力した模型について、国際ワークショップ(HSCR)にて報告。スライド式声道模型の普及のために改良を重ねた結果を中心に、日本音響学会研究発表会の音響工作・教材コンテストに出展。デモンストレーション賞を受賞した(2018年3月)。 国立科学博物館のサイエンススクエアでは、上記模型やディジタル・パターン・プレイバック等の展示を実施し、ワークシートも活用(毎年夏)。常設展示を監修したエストニア国立博物館を視察(2017年)。 要請のあったアメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・スウェーデンなどの各教育機関に模型を送り、活用と評価を実施。また、Acoustic-Phonetics Demonstrations (APD)のサイトから声道模型の3Dプリンタ用ファイルを公開しているが、日本音声学会学術研究奨励賞受賞を機に利用が増えてきた。その他、声道模型を中心とする音響教育やNHK Eテレ「えいごであそぼ with Orton」実験監修の様子は、日本音響学会や音学シンポジウム、日本英語学会での各招待講演でも報告した。
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