研究課題/領域番号 |
15K00938
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
菅谷 純一 仙台高等専門学校, ICT先端開発センター, 教授 (30154454)
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研究分担者 |
上町 俊幸 石川工業高等専門学校, 電気工学科, 准教授 (50280334)
大場 譲 仙台高等専門学校, 知能エレクトロ二クス工学科, 准教授 (80455104)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慣性ロータ型倒立振子 / 振り上げ制御 / 立位制御 / 発展型教材 / シーケンス制御 / PLCコントローラ / 海外出前授業 |
研究実績の概要 |
まず、慣性ロータ部に大きなトルクを出せるモータを用いて±15°から倒立振子を起き上がらせて安定化立位制御を実現するためにMATLABシミュレーションを行った。この点に関しては、卒業研究課題テーマ「慣性ロータを用いた倒立振子の振り上げおよび立位制御シミュレーション」において慣性ロータ型倒立振子を用いた実験教材の作成を目的とし、PIDによる立位制御と振り上げ制御のシミュレーションを行い、実機製作に当たっての評価検討を行った。実機の慣性ロータ型倒立振子では振り上げ制御と立位制御を切り替える必要があり、切り替え時に倒立振子モデルの持つ非線形システムが影響する可能性があるので検証を行った。振子の物理パラメータから導出した運動方程式をもとに作成した非線形システムモデルを基にMATLAB/Simulinkを用いてシミュレータを作成した。設計する実機のパラメータをいろいろ変更して試した。その結果いくつかの設計パラメータを候補として用いることとした。 一方、実機製作のためにシーケンス制御を用いた倒立振子を専攻研究において検討した。専攻研究論文題目は「シーケンス制御による倒立振子の立位制御への応用」である。シーケンス制御は技術者として身につけることは必要不可欠であるが、ここでは教材開発をメインに研究を行った。 基本的なシーケンス教材からの発展として、倒立振子を題材としたアドバンスト教材の製作を行った。PLCコントローラからの信号によって台車が動くことで、振子を振り上げ立位させることが目的である。製作した教材は、本校での講義や提携大学での出前授業等で使う予定である。 現在,倒立振子システムを設計し実験を行った結果として、振り上げ制御を行ったのちに立位状態を維持できることが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要でも述べたように、シーケンス制御による倒立振子の振り上げ制御と立位制御は実現させた。しかし、慣性ロータ型をまだ倒立振子に装着していないので、その分の実機製作に対しては遅れている。慣性ロータ型倒立振子のシミュレーションは卒業研究にて実施してもらい、きちんと想定通り安定化制御が実行されていることが可能となっているので、その実機パラメータに基づいた設計方針にしたがえば慣性ロータ型倒立振子の実機製作は可能になると考えられる。ただ、前述したように少なくとも実機製作に基づいた振り上げ制御と安定化立位制御を早急に実現する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
まずは慣性ロータ型倒立振子の実機製作を行い、コンピュータによる実施の制御が可能かどうかの確認をする必要がある。実機製作の設計に関しては外部の共同研究者とすでに打ち合わせしているので、制作までお願いしている。また、モータ制御に関しては内部の共同研究者と相談中である。振り上げは正弦波振動周期をだんだん早める方法で、振り子が立位に近づく±10°の範囲内に入ったら立位制御のPID制御方式に切り換えるよう制御プログラムの検討に入っている。後は実機による立位実験を試して、シミュレーションとの整合性を検討する予定である。 次に、それが終了したらブランコ型への応用を試み、やはりその実機製作を行う予定である。ブランコの状態から振上げ制御を行って、ブランコ下部が頂点付近に来たとき制御を切り替えて慣性ロータ型倒立振子とみなして、立位制御をさせる。この制御は振子の振り上げ制御と慣性ロータによる立位制御の2重構造を持つ可変構造型制御と呼ばれるが、可変構造型の制御では切り替えるタイミングとその瞬間における非線形性が理論的には問題になる。まず実機との対応に関する理論的考察も必要になるのでその見当を行った後に制御系の設計を実施する予定である。 ブランコ型の実機を設計・製作することも重要で可変構造制御則を適用した場合の考察とその実際についても比較・検討する。ロータは一応円盤型であるが、高トルク回転を作るための形状、その重さや大きさなどの検討も行う必要がある。なお、当初の予定ではモータを2つ使用した慣性ロータを考えていたが、モータは一つで慣性ロータ型に組み込むつもりである。
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次年度使用額が生じた理由 |
まだ、慣性ロータ型倒立振子の製作に至っていないため、その一部部品代等および謝金等に昨年度使用額が共同研究者において一部未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
上記、昨年度未使用となった分については、本年度において慣性ロータ型倒立振子の製作部品の一部使用と謝金等に使用される予定となっている。
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