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2015 年度 実施状況報告書

数学教育の新たな展開を目指したSTEM連携教育の調査と教材開発のための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K00943
研究機関福井工業高等専門学校

研究代表者

坪川 武弘  福井工業高等専門学校, 一般科目(自然系), 教授 (70236941)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードSTEM連携 / グループ学習 / グラフアート
研究実績の概要

本研究1年目として,実施計画にあげた,(1)米国コロラド大学でのSTEM連携の調査,TA,LAの実態調査,(2) RMEの高校以降の教材調査,(3)日本版の教材開発,(4)調査結果の共有に関して,(1)(4)については,ほぼ予定通り進めることができた.1年目の目標は(2)(3)についても分析と開発としているので,予定の範囲となっている.2015年9月に開催された第5回RMEで日本でのグラフアートの作成に関する教育をSTEM連携の教材例として紹介した.
(1) コロラド大学でのSTEM連携については,SIRモデルを微分方程式の授業に取り入れ,その演習のグループ学習とTA,LAの果たす役割について実地調査ができた.課題を3~4人のグループで討議しながら解決していく授業であった.TA,LAはグループ討議へのアシストをしていた.彼らは教えることに誇りと喜びを感じていること,将来TA,LAの経験が活かせる職業を希望していることが特徴的であった.
(2) 高校の教材調査では,RME において高校での数学教育についての報告が数件あったが,前回多かったSTEM連携への議論は少なく,ICT利用の教育へのシフトが進んでいた.STEM連携教材を高校以下で実現することが容易ではないと思われる.この点は現在分析中である.
(3) 日本版教材の開発は,SIRモデルはなどの時間依存の3変数の微分方程式のモデルなどを検討中である.微分方程式を作ることができれば,解についてはソフトウェアを利用して数値的に調べるほうが実際的と思われる.日本での教材開発に際しては,微分方程式の作成と数値解の解釈に焦点を当たものとしたい.
(4) 共有化については,2016年の3月に「グラフ電卓研究会」のホームページを開設しその中で研究成果の公開と蓄積を行うこととした.グラフ電卓研究会などの数学教育に関する研究会で紹介する予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実績概要に示したように,初年度の4つの方針について,それぞれ計画書の段階での予定を実施することができた.概要で述べた(2)高校以降でのSTEM教材についての調査研究に関して補足的に述べる.
2年前のRMEカンファレンスでは,基調講演の中で,コロラド州内の高校段階でいかに多くのSTEM連携が実現したかが紹介されました.高校内部での連携,高校間の連携,大学と高校との連携などが多々模索され実践されてきたと紹介された.しかし,その成果については今回報告を見ていない.この点について,IMPグループの教員への聞き取りを行う必要性を感じている.IMPグループは数学教育の教材として,現実の問題を積極的に取り入れて教材として優れた完成度をもったものを開発してきている.STEM連携に関しては最も見識がある教員グループである.
大学教育に関しては,コロラド州立大学内でのSTEM連携は着実に進展していることは微分方程式の授業演習を見学してかなり実感できた.教材も少しずつ蓄積されてきている.
このような状況から見て,数学教育でのSTEM連携の理想と現実,有用な教材の開発という点で高校以下については更に調査と研究が必要であると思われる.高等教育ではむしろSTEM連携が数学教育を変化させる大きな力になるとも考えられる.これらの事情が1年目の調査研究で浮かび上がってきた課題である.

今後の研究の推進方策

実績状況と進捗状況で示したように,申請の段階で考慮していたSTEM連携についてのアメリカの状況について再検討をすべきである.コロラド大学などの状況は,高等教育における数学教育の新しい可能性を示していると考えられる.一方高校以下の段階ではその現状についてもう少し内実を調べる必要があると思われる.また,RMEの提唱する「現実に根ざした数学教育」「こどもの置かれている歴史的文化的背景を踏まえた数学教育」「こどもの学習の軌跡・道筋を尊重した数学教育」との関連でSTEM連携をどのような位置付けているのか詳細な調査と検討が求められている.この部分の研究が,日本での高校以下の数学教育でのSTEM連携を考える上で重要な点となると考えられる.以上のような問題意識に立って今後の研究方向として,(A) 申請段階で示した目標は妥当と考えられるが,高校以下の段階でのSTEM教育への取り組みについて,アメリカやRMEの中心研究機関があるオランダなどの実例を深く調査研究すること,(B) 日本版の教材開発については,大学や高専などの高等教育機関でのSTEM連携にもとづく教材を中心に開発すること.申請書で述べた高校から大学への接続となる部分の教材も開発することとする.(C) 共有化に向けては初年度に開設した「グラフ電卓研究会HP」に発表資料を可能な限り掲載し,これが一種のデータベースとなるようにしたい.それをもとにSTEM教材の事例や海外の教材HPへのリンクを持った使いやすい情報提供のシステムを作りたい.
海外の事例研究として,RME提唱者のフロイデンタール研究所を有するオランダのユトレヒト大学と関連する高校以下の学校でのSTEM連携を調査したい.

次年度使用額が生じた理由

3月に研究協力者である旭川高専の島田氏を福井へ招請する旅費が予定より増加することとなったため,次年度予算と合わせての支出とすることとした.そのため残額がでた.

次年度使用額の使用計画

H28年度分と合わせて島田氏の旅費の支出を行う予定である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 その他

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] A Study of Mathematics Education and Culture: Based on Analysis of Students’ Works of Graphing Calculator Art2015

    • 著者名/発表者名
      Takehiro Tsubokawa
    • 学会等名
      5th International Realistic Mathematics Education Conference
    • 発表場所
      University of Colorado Boulder
    • 年月日
      2015-09-19 – 2015-09-19
    • 国際学会
  • [学会発表] IMP におけるアクティブラーニングとテクノロジー利用2015

    • 著者名/発表者名
      坪川武弘
    • 学会等名
      第39回 日本科学教育学会 年会
    • 発表場所
      山形大学
    • 年月日
      2015-08-23 – 2015-08-23
  • [備考] グラフ電卓研究会

    • URL

      http://www.ge.fukui-nct.ac.jp/~math/graph-ken/

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公開日: 2017-01-06  

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