研究課題/領域番号 |
15K00944
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研究機関 | 長野工業高等専門学校 |
研究代表者 |
濱口 直樹 長野工業高等専門学校, 一般科, 教授 (00369977)
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研究分担者 |
高遠 節夫 東邦大学, 理学部, 訪問教授 (30163223)
大島 利雄 城西大学, 理学部, 客員教授 (50011721)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 立体モデル教材 / 空間図形 / KeTCindy / KeTpic |
研究実績の概要 |
高専および大学初年級の数学教育においては、2変数関数のグラフとなる曲面等の空間図形の理解が必要不可欠である。現在では、プリント、スライド、タブレット、立体モデル等、様々なスタイルの図形教材が使用されているが、我々が整備を進める教材作成支援ツールKeTCindyを用いると、これら全ての教材の図形データを作成することができる。立体モデルやタブレット上の図形は、その形状に関する理解には効果的であるが、数学的な情報を併せ持つとは言えない。そのため我々は、これらにプリントやスライド教材を併用した授業を設計し、その効果を検証した。 平成27年度には、KeTCindyの整備を進め、MaximaやRisa/Asir、Fricasなどの数式処理システムを用いて計算させて、そのデータを読み込む手法を取り入れた。空間図形では複雑な数式を扱うことも多く、この有効性は非常に大きい。また、教育的に有効である図形教材を検討し、原点において連続ではない2変数関数のグラフや、偏微分可能であるが全微分可能ではない2変数関数のグラフ等、いくつかの教材を作成した。 平成28年度には、KeTCindyの整備および教材の検討や作成に加えて、極座標変換を用いた重積分をテーマとして上記の教材を併用した実験授業を行い、その教育効果を確認した。 平成29年度には、2変数関数のグラフおよび回転体の体積をテーマとして設計した授業でそれらの効果の検証を行った。理解度の異なる学生に対して様々な形式の図形教材を利用すること自体の効果、およびそれらの併用効果が確認された。さらに、これらの実験授業では、基礎的な内容において学生自身の手で扱った図形教材による理解が、その後の関連する内容の理解にも繋がっていく様子がうかがえた。これらは、空間図形を学び始める初期の段階での併用教材の教育効果を示唆しており、今後もその検証を進めていく。
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