計画時には、申請者の所属校において、平成28年度から基礎生命化学教育プロフラムを生物や化学を専門としないクラスに適応予定であったが、平成31年度に先延ばしになったため、共同研究のコンソーシアムの参加校の協力を仰いで、当該プログラムを実施した。当該プログラムを実施する予定のクラスの特徴をQ-Uにて判別したところ、申請者所属校でよく見られた承認得点が高く被侵害得点に広がりを持つタイプのクラスより承認得点が低く荒れ気味で、学校生活意欲の低いクラスも含まれていた。このため、28年度に作成した基礎生命化学の授業構成プログラムより、学生の負担軽減や実験時の班分けに配慮した。染色体と細胞周期、細胞の動的構造と静的構造、様々な微生物の大きさなどを学ぶ際に、昨年度作り上げた「データ取り込み可能な画面付顕微鏡による生きた細胞や組織の観察」に関する実験を交えて基礎生命化学授業を実践した。 被侵害得点に広がりを持つタイプのクラスでは学生主体のグループ学習では、深い学びにつながりにくいことが分かっているので、教員主導型で構成された基礎生命化学の授業構成プログラムを実施した。荒れ型の2クラスにおいて実施したところ、学校生活意欲の高い学生が多いクラスでは、当該プログラムが好評であったことが授業アンケートから明らかになった。しかし、学校生活意欲の低い学生の多いクラスでは、グループ学習の代わりに講義にして欲しい旨中間段階で意見が出てきた。これを考慮してプログラムを修正したところ、最終的には好評であった。これまで、小学校を中心としたQ-Uの解析では、学校生活意欲に着目したものはなかったが、高専においては学校生活意欲尺度も授業構成には重要であろうことが明らかとなった。
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