1. 社会連携型活動の視点からの教員研修では、サイエンスショー導入効果が大きく、授業への適用や教材開発等、教員自身が工作実験を実体験でき、楽しむことにより、相手に伝えること、実物を魅せること、体験させることの重要性が強調された。研究者自身を示すことで、研究全体を俯瞰できる一方で、理科と研究との接点など、科学者として何を伝えるか等、課題も明らかになった。宇宙、光科学、エネルギー分野における空間、時間、温度及びエネルギー軸に関わる階層化構造について、パワーズ・オブ・テン(十の冪乗で増大、減少)の概念導入により、全体像の理解に有効であることが判明した。
2. 地域共生型活動の視点から、行政・教育機関との連携企画であるサイエンス・フェスティバルでは、児童・一般を対象として、動機づけ・不思議さ・面白さの実体験を通して、科学技術に対する興味・関心の喚起により、地域の共生事業として平成18年度から11年間の継続実施に至った。また、連携・融合企画である、やましろのタカラ フェスティバルでは、地域交流フェスティバルと科学フェスティバルからなる文理融合型イベントとして、サイエンスショーの導入効果のもとに、行動変容に繋がる新たな発見や、科学技術に対する興味・関心の増大等、有用な効果が得られた。
3. 課題設定型活動において全体像の把握を主眼とした派遣講座では、先端性を減ずることなく、授業の進捗度との整合を図り、光、化学、生命の分野において探究心の向上に繋がる成果が得られた。さらに、仮説実験講座と科学論争体感実験を実験教室に導入し、体感軸として、「きっかけエピソード」を、知識体系化軸として、「パラダイムシフトからなる文理融合(科学史的)アプローチ」の活用を進めた。興味づけ効果を喚起でき、「実験工作好き」から「理科教科嫌い」に繋がる負の連鎖を断ち、理科教科に対する「親和性」向上に奏功し、課題解決型の活動となり得る。
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