研究課題
過年度実施した平成20年3月改訂の高等学校学習指導要領に基づく工業科の実習内容等の調査結果を分析・評価した。機械科、電気科、電子科、建築科、土木科、工業化学科、情報技術科、電子機械科の8学科・系の実習と工業技術基礎、課題研究などの指導内容、指導形態等について分析した。その結果、(1)実習は量的な削減と質的な変容が認められた。単位数は1976年の結果に比べ、工業化学科で52%、機械科で57%、電子科で70%、建築科で74%と大幅に削減されている。(2)工業技術基礎、課題研究など原則履修科目の導入の影響が大きい。(3)実習内容・テーマが大幅に縮減されている。こうした実習の“後退”の要因には、実習等を確かに指導できる工業科教員の存在が重要であり、その養成が喫緊の要事である。現今工業科教員の主な供給元は大学の工学部であるので、工学部専門教育の内容とくに実験・実習の実施状況が、工業科における実習指導を担保できるかを検討した。数校の工業科教員免許を出している大学工学部の機械工学科と電気・電子工学科の実験・実習科目の指導内容を分析し、工業科の実習内容と対応させて、問題点を検討した。電気・電子科の場合は、大学での指導内容と大旨対応しているため、大きな齟齬は生じにくい。その理由は、電験3種などの資格試験の要件が大学も工業高校にも同様に厳しく規定されているためである。他方、機械工学科の実験・実習内容は理論の検証に重きが置かれ、特に技能習得に関する指導が時間的に不十分であり、工業科の機械実習指導に支障を来す可能性が濃厚と考えられる。かかる課題を克服する手立てが必要である。さらに、工業科教員の供給源に関する歴史研究も、愛知県・岩手県について教員組織を示す資料を手がかりに詳細に進めた。
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鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要
巻: 27 ページ: 125-134
鹿児島大学教育学部研究紀要
巻: 68 ページ: 71-100
近畿大学生物理工学部紀要
巻: 41 ページ: 1-11