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2015 年度 実施状況報告書

新しい能力の涵養を企図した理論-実践モデルの構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K00976
研究機関京都教育大学

研究代表者

村上 忠幸  京都教育大学, 教育学部, 教授 (20314297)

研究分担者 樋口 とみ子  京都教育大学, 教育学部, 准教授 (80402981)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード探究活動 / マルチプルインテリジェンス / 理論と実践の往還 / 省察 / 自己理論化 / メンターリング
研究実績の概要

理科において「新しい能力」を涵養するための方略として、マルチプルインテリジェンスMultiple Intelligence(「多重知性」、以下MIと表記)理論を活用した能力を可視化する分析ツールの実践的な有効性の検討と安定化を実現した。また、「探究学習の真正性」を充たした質の高い探究プロセスにより、能力を顕在化させる授業の実践的な有効性の検証と安定化も果たした。さらに、能力の可視化と顕在化をメタ的に認知する評価システムの開発を試行し、一定の成果を上げた。
すなわち、理科における探究学習・探究活動を本研究をさらに発展させ「理論と実践の往還」という概念のなかに位置づけることにより、その学習・活動の意義がより明確になることを見いだした。特に省察やメンターリングに着目し、その効果的な方法論を探る意義を「理論と実践の往還」における理論と実践の架橋的な概念の必要性とそれを実現する糸口をもたらすことになるとした。
このような経過の中で、真正性のある探究プロセスとMIの考え方は極めて有力な方略であることを示すことができた。
このような成果は、さらに「理論と実践の往還」を教員養成(初任者教育を含む)高度化の最も重視すべき概念と位置づけ、それを実質的なものとするために、省察を中心とした方法論を検討する道筋の発見につながった。特に、理論と実践の架橋的概念として「自己理論化アプローチ」を試案し、試行することによりその有用性を確認する展開が期待できるようになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の当初の目標は、MIと真正性のある探究プロセスによる実践的側面と理論的側面を融合した「理論-実践モデル」の構築とそれらに基づく「新しい能力」の涵養に向けたプログラムの開発であった。また、そのような能力の評価システムの一つとして自己評価であるポートフォリオの有効性を検証し、他者評価との関係を検討し、能力の評価についての提案性のあるものを開発することにあった。
このような目標に対する進捗状況として、「理論-実践モデル」の構築に対しては、「理論と実践の往還」における架橋的概念として位置づける可能性を見いだすことができた。これには、フィンランド、ヘルシンキ大学、カタリナステンバーグ氏のPPT(Persinal Practical Theory)やオランダ、ユトレヒト大学コルトハーヘン氏の省察モデルの調査から得られた知見が有効であった。それは「自己理論化アプローチ」の開発へと昇華し、現在試行を継続し安定化を図っている。
さらに、教員養成や教員研修で教員の「新しい能力」の涵養に活用する方略を検討する作業においては、すでに、「自己理論化アプローチ」に係るMI、探究プロセス、評価システムを一体化したコンテンツを構想し、これらを実践的に普及する方略の具体化検討する段階に至っている。
以上のように、本研究の進捗状況は当初予定した状況から、かなり進展した状況となっている。

今後の研究の推進方策

1年目の成果である「理論と実践の往還」を実質的にする架橋的概念である「自己理論化アプローチ」を実践的に検証し、本研究の安定した方略として確立したい。そのためには、以下のことについて検討する。
・経験主義の基づく「経験からの学び」を実現する方略を検討する。
・メンターリングについて教師教育の視点からその概念構築と方法について検討する。
・以上についての評価システムについてルーブリック、ポートフォリオ等を組み合わせた方法論を検討する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 新しい時代の理科教育への一考察(4)2016

    • 著者名/発表者名
      村上忠幸
    • 雑誌名

      京都教育大学教育実践研究紀要

      巻: 第16号 ページ: 31-40

  • [雑誌論文] オランダの科学教育2015

    • 著者名/発表者名
      村上忠幸
    • 雑誌名

      化学と教育

      巻: 63 ページ: 472-475

    • 査読あり
  • [学会発表] 新しい時代の理科教育への提言2015

    • 著者名/発表者名
      村上忠幸
    • 学会等名
      日本理科教育学会第65回全国大会
    • 発表場所
      京都教育大学
    • 年月日
      2015-08-01 – 2015-08-02
  • [学会発表] 「理論-実践モデル」の有効化に向けて2015

    • 著者名/発表者名
      村上忠幸
    • 学会等名
      日本理科教育学会第65回全国大会
    • 発表場所
      京都教育大学
    • 年月日
      2015-08-01 – 2015-08-02
  • [図書] 教育実習から教員採用・初任期までに知っておくべきこと2016

    • 著者名/発表者名
      村上忠幸
    • 総ページ数
      166
    • 出版者
      教育出版

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公開日: 2017-01-06  

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