研究課題/領域番号 |
15K00980
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
Lee YongKyung 山口大学, 大学研究推進機構, 准教授 (70437698)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 知的財産教育 / 必修知財科目 / 知財学習教材 / 共通教育 |
研究実績の概要 |
山口大学では、平成25年度から共通教育課程において入学してくる1年生全員(約2000名)に対して知的財産教育科目を必修化した(大学初)。この必修知財教育科目(8コマ、1単位)においては、毎授業の最後の10分間を受講生が小レポートを記載する時間としている。小レポ―トの記載内容は次のA~Dの項目である。A.今回の授業で事前に知っていたこと、知っていたフレーズ。B.今回の講義でわからなかったこと、その他この授業に関する質問。C.知的財産全般に関して知りたいことや質問。D.授業の感想。本研究は、この小レポートから聞こえてくる知財初学者の生の“声”(特にBとCの項目)に着目し、受講生の学習のつまずきがどこにあるのか、どんな内容に興味があるのか等に対応した新規な教材(知的財産と社会とのつながりを実感でき、且つ初歩的な知財問題の把握と解決方法も習得可能な知財初学者でも理解しやすい教材)を開発できる点に特色がある。 今年度(平成27年度)は、既にこれまでに実施した授業における小レポート(研究代表者が担当した平成25年度4クラスと平成26年度4クラスの計約1460名の受講生の毎授業の小レポート)からクラス毎に抽出した知財初学者が抱いている素朴な疑問や学習のつまずきがある箇所(以下、「質問事項等」という)を分析・整理し、学習内容に沿って(知的財産権の全体像、著作権の基礎知識、特許制度、デザインの保護、商標権の基礎知識など)分類・体系化を行った。また平成27年度の前期に実施の授業(1クラス、約230名)の小レポートから新たな質問事項等を抽出し追加した。そして、これらの分類・体系化した質問事項等をもとに、全クラスで共通して使用できるQ&A形式の新規教材(講義用スライド形式)を開発した。さらに、平成27年度後期の一部のクラスにおいて、これらのQ&A形式の新規教材を紙媒体で配布し、実際の授業で活用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度の研究実施計画どおり、必修知財科目の複数のクラスにおいて毎授業受講生が記入する小レポートを分析・解析することで、知財初学者が抱いている素朴な疑問や学習のつまずきがある箇所(以下、「質問事項等」という)を抽出でき、学習内容・授業内容に沿って分類・体系化した。そして、その体系化した質問事項等をもとに、授業で活用できるQ&A形式の新規な知財学習教材(講義用のスライド形式)を開発した。 また、次年度(平成28年度)に予定の開発した教材を用いた実証講義(実際の授業での活用)も一部先取りして実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画どおり推進する。 平成28年度は、開発した教材を実際の授業で活用(紙媒体で配布し主要箇所を解説するなど)した結果について、アンケート等を通じて効果検証を行う。 平成29年度は、より高い学習効果が得られるように教材(講義用)の改訂作業を行い、あわせて開発した講義用の教材の書籍・ビデオ教材化を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品について当初の見積より安く購入することができたものもあり物品費を抑えることができた(例えば、データ保存用ハードディスク当初90,000円の予定が37,000円で購入)。また、資料(小レポート等)の電子化と整理のための事務補佐員については適切な人材が見つからず人件費・謝金の執行が遅れた。以上の理由により、次年度使用額(277,806円)が生じている。但し、平成27年度の小レポート等の資料整理は平成28年度の前期に行っても足りるので、研究推進上の影響はほとんどない。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、当初予定のとおり、主に資料(小レポート等)の電子化と整理のための人件費・謝金、及び教材開発のために必要な物品費として使用する。
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