最終年度(平成29年度)は、前年度の実証講義の検証結果を踏まえ、より高い学習効果が得られるように、Q&A形式の教材(スライド形式)の改訂(新たな質問事項の追加等を含む)、書籍教材化及びビデオ教材化を行った。最終的にQ&A形式の教材(スライド形式)は、質問数304問(スライド枚数140枚超)となった。書籍教材化については、全304問を収録した冊子「知財なんでも質問箱~Q&Aからみる知財入門~」(148ページ、非出版)を作成した。ビデオ教材化については、一問一答形式のQ&A形式の映像を113問について作成した(予想以上に編集等に時間がかかり未完遂、残りについては以後継続して作成予定)。 本研究は、山口大学における知財教育の全学必修化(1年生全員が知財科目を履修)を背景として、そのリソースを活用し知財初学者の生の“声”を調査・分析することで知的財産初学者向けの新規教材の開発と実証講義、その効果検証に関するものである。初年度には、受講生の小レポートから知財初学者が抱いている素朴な疑問や学習のつまずきがある箇所を抽出・分析・整理し学習内容に沿った分類・体系化を行うことで、全クラスで共通して使用できるQ&A形式の新規教材(スライド形式)を開発した。そして、それを用いた実証講義を行った(参考教材としての位置づけで紙媒体での配布やweb配信等した)。二年目はその実証講義の結果検証を行い、Q&A形式の教材(スライド形式)が講義内容の理解に概ね有効であるなどの知見を得た。そして三年目は上記のとおり、より高い学習効果が得られるように改訂と書籍教材化及びビデオ教材化を行った。本研究で得られたこれらの成果については、経済社会を支える知財裾野人材の拡充への貢献のために、本助成終了後もさらなる精査と社会への還元を図っていく所存である(例えばe-learning用の教材化や図書としての出版も視野いれるなど)。
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