研究課題/領域番号 |
15K00981
|
研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
宮下 晃一 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90192765)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 3Dプリンタ / 3D-CAD / 中学校 / 技術 / ものづくり |
研究実績の概要 |
3Dプリンタの中学校への導入を考慮し,機種選定を行った。2015年時点で熱溶解積層法による機種が価格面における優位性があり,cube3(3D Systems社),MakerBot Replicator Mini(MakerBot社),ダヴィンチ 1.0A(xyzプリンティング社),Value3D MagiX MF-500(ムトーエンジニアリング社)等が候補と考えられた。その中から,本体価格,造形材料単価,最大造形サイズ,出力品質,操作性を総合的に考慮してcube3(3D Systems社)を選定した。なお2015年末に3D Systems社はcube3の製造を取り止めたために,2016年度以降の本研究の実施においては考慮が必要である。 3D-CADについては,学校予算の制約からできるだけフリーソフトであること,学校や教育委員会が定めるセキュリティポリシーに合致すること,中学校現場にふさわしいレベルの機能と取扱い容易さとのバランス,3Dプリンタへの出力の容易さなどを考慮し,DesignSpark Mechanicalを選定した。 中学校技術科の授業において,3D-CADと3Dプリンタを用いて鉢カバーを設計・製作する授業実践を行った。生徒らは2時間の授業で3D-CADの基本的な操作を習得し,その後の3時間で各自の発想による鉢カバーを3D-CADで作図できた。授業前後の意識調査の比較から,生徒らの3Dプリンタへの具体的な理解が格段に進んだことがわかった。生徒作品の出力に1個当たり3時間半程度を要したため,今回は授業時間外に出力した。3Dプリンタを用いた授業を実施する上での課題として,多数の生徒作品を短時間に出力する工夫,学校特有のパソコン管理に適した3D-CADの導入,3D-CADや3Dプリンタに関する教員のスキル向上などが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に従って研究を実施しており,その成果をについて論文投稿1件,国際学会での発表2件,国内学会での発表2件にまとめた。そのため,「概ね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度には,3Dプリンタを使った研究授業を複数の形態(導入する3Dプリンタの台数を教室に1台の場合,教室に2台の場合,生徒数人に1台の場合)で試行し教育効果を評価する。また研究授業の成果について学会発表を行う。また中学校技術科にふさわしい設計を中心としたものづくりに関わる授業開発にも取り組みたいと考えている。 平成29年度には,生徒数名に1台の3Dプリンタを使った研究授業を実施する。また本研究の最終年度であることから本研究を通して得られた知見をまとめて,3Dプリンタ導入を希望する学校や教師を支援するためのwebページや動画の公開と,本研究に関わる論文執筆を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度の研究を予定通り実施した結果わずかな残金が出たので,翌年度に有効活用することとした。
|
次年度使用額の使用計画 |
わずかな残金を繰り越すことになったが,当初の使用計画に大きな変更はない。 平成28年度の使用計画の内訳は次の通り。物品費(3Dプリンタ2台,3Dプリンタ消耗品等)380,878円。旅費(研究授業および成果発表のため)120,000円。
|