研究課題/領域番号 |
15K00984
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
中林 健一 宮崎大学, 教育学部, 教授 (60201670)
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研究分担者 |
有井 秀和 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (80384733)
湯地 敏史 宮崎大学, 教育学部, 准教授 (80418988)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イオンの理解 / マイクロスケール実験 |
研究実績の概要 |
中高校生のイオンの理解増進のためのマイクロスケール実験とICT教材のタンデム活用を行うことを全体の目的とした。本研究では,有色銅イオンの移動の観察を目的として,中学・高校の理科または化学実験用のマイクロスケール理科・化学実験装置を開発することにある。ICTを活用する生徒のイオン理解増進のための化学教材開発を行った。最終的には、マイクロスケール実験の結果をもとに、ICT教材をタンデム活用することで、生徒の粒子概念の育成を目指した。 本研究では,有色銅イオンの移動の観察を目的として,寒天法を用い装置をマイクロスケール化した。本装置の特徴は,寒天そのものを硫酸銅(Ⅱ)水溶液の支持体として用い,陰極相,支持体相,陽極相の3相構造にしたことにある。生徒実験をマイクロスケール化するにより電極間の距離が短くなり,低電圧で短時間にイオンの移動の観察が可能となった。 また,9マスセルを用いることによって,生徒がイオンの移動実験を少人数で観察できるようになった。生徒は実験観察を通して,現象を説明するために生徒自身が様々なモデルを思考し,それを生徒どうしで表現しあうという学びの活動をよりしやすくするために化学教材開発を行った。実験とモデル化を併用することを通して,マクロとミクロの視点を常に行き来するような授業の流れをつくることが可能となった。最終年度ではタンデム教材の学習効果の評価と授業実践を行うために、宮崎市内の中学校等で,出前授業を実施し、生徒及び教師の興味・関心がどこにあるのかをアンケートを実施して明らかにし、問題点の明確化を行った。平成29年度は得られた結果を学会ならびに学術雑誌に公表する予定であったが、実績をさらに重ねるために期間延長を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究を論文誌やテキストにすることができ成果を得ている。また、今後学会発表等で成果を公表する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
期間延長を申請し認められているので、残された予算の範囲で学会等で成果を公表し、研究成果の正当性を評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表を行い、研究成果の評価をさらに受けるため。今後適切な学会等で成果を公表予定である。具体的には中学校や高校におけるイオンの学習におけるイオン移動実験は、その素材,実験方法,学習の位置づけ等で,指導上工夫を必要とする教材である。イオンの移動実験を中学・高校の授業で行うには,以下の点を考慮する必要がさらにある。①操作や装置が簡単であること,②イオンの移動を視覚的にとらえさせること,③結果が短時間で観察できること,④電極間電圧はできるだけ低くすること,⑤電極付近の色の変化や腐食問題を解決すること,⑥陽イオンと陰イオンが同時に移動する様子をできるだけ視覚的に観察させること,などである。このような課題をさらに追及する必要がある。
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