本研究は,市民が確率の概念であるリスクの考え方を理解し,対応を自ら判断できるようになること,合理的かつ多様性を受け入れる社会を実現させることを目的として,(1)リスク教育プログラムの開発とアクティビティ集の発刊,(2)プログラムの効果の検証,(3)市民講師の育成と体制の構築に取り組んできた。 このうち(1)については,リスクリテラシーを修得するために様々なアクティビティを開発し,その中から主要な14のアクティビティ選び,講師用の指導マニュアルとして「リスク教育アクティビティ集」を2021年3月に発刊した。 (2)は効果検証方法を確立するために,リスクリテラシーの尺度を作成し,プログラムの検証を行った。リスクの基礎知識など一部の要素について教育効果が確認できるなど,プログラムの検証も進められた。しかし尺度がリスクリテラシーの一部に限定されていることから,尺度の拡充が課題として残されている。 (3)はリスク教育プログラムや測定尺度を作成し,リスク教育の基盤ができたことから,講習会を開催して体制を固めていく予定であったが,教育プログラムは対面を前提とする参加型のプログラムが特長のため,コロナ禍により実施が困難となった。 最終年度はコロナ禍の影響を見極めながら,リスク教育をWEB上で行う方法について検討を行った。リスク教育の意義やプログラムの内容を紹介するほか,講習会が可能になった際に開催情報を周知するためのホームページを作成して運用を始めた。
|