研究課題/領域番号 |
15K00990
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
木村 政司 日本大学, 芸術学部, 教授 (00307886)
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研究分担者 |
渡辺 政隆 筑波大学, 広報室, 教授 (70356286)
工藤 光子 立教大学, 理学部, 特任准教授 (90594078)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生命の多様性と共通性 / 生物系藤樹 / 進化マップ / タイムラインの可視化 / 大陸移動 / 生命のつながり / 科学教育コンテンツ / ミュージアム |
研究実績の概要 |
初年度より生物多様性の進化マップをタイムラインで可視化するために、生物の系統、生命の系統樹に関する資料を読み込みながら、情報を統一することに全力を注いで来た。同時に学術的整合性や理論検討等この研究プロセスの効率化を図るために、研究分担者である渡辺政隆氏、工藤光子氏には助言をもらいながら予定通りタイムラインの可視化に伴う作業を続けている。当初、この研究目的であった全ての生物の目(もく)を中心に可視化することを目指し制作してきたが、3年目の成果として、目だけでは系統が表現しきれない部分が多々出てきたため、科(か)も可視化の対象にすることを決めた。 科学教育コンテンツの開発が最大の創出であることから、目指す生物の膨大な数のシルエットを描ききることに現在継続して力を注いでいる。同時に学部のデザイン実習では、描いた生物のシルエットが具体的に視覚言語として読み取れるか、理解できるかの調査・収集を行なっている。この作業を繰り返すことで、コンテンツ制作の最終目的である自然の多様性と共通性の魅力的な視覚デザイン、生命の系統樹の立体タイムラインの可視化が可能となる。 この研究の大半の作業が、古細菌、真核生物などから分化していった生物の系統進化を分かりやすく伝わるように、可視化するため生きもののシルエットと大陸移動のリンクした描写である。そして、描いたシルエットの繋がりを一堂に学ぶことができるインタラクティブ・コンテンツの完成に最終年度を目指している。少々遅れ気味ではあるが、着々と作業は進んでいる。 昨年度、監修をお願いしている渡辺政隆氏にはアメリカの自然史博物館での調査をお願いした。進化マップの不整合性を検討するための報告を受けた結果、2冊の生物の多様性、系統樹の資料にたどり着くことができた。この資料をもとに今後ゴールまでこの研究を進めていく方針である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全ての生物の作図に膨大な時間がかかっているが、ベースになる有力資料を2冊に絞って進行している。'The Tree of Life' by Lecointre Le Guyaderと「生物の多様性百科事典」朝倉書店を基礎に、目(もく)と科(か)を中心とした系統樹の制作が進行している。 また、昨年度は監修をお願いしている研究分担者の渡辺政隆教授に海外の自然史博物館の取材をお願いし、進化理論の最新成果をフィードバックしていただいた。同じく工藤光子氏には大陸移動の理論面の指導を頂き、視覚化するための調整を行うことができた。しかし、全ての生物の可視化に膨大な時間がかかっていることは事実であり、やや遅れている原因である。この遅れを取り戻すべく最大の努力を図っている。 ネイチャー&サイエンスデザインの演習授業では、デザインを学ぶ学生に生物のシルエットを描かせ、その形の魅力的な見せ方やシルエットによる生きものの可視化の難しさを掴む方法で、この研究の教育還元を2年間行なった。その結果、この研究に興味を示す学生も多いことから、生物の視覚化、大陸移動の視覚化に学生有志の参加を得ている。 目標は今年度前半で全てのシルエットを系統樹に落とし込んだ形で完成させ、後半にはコンテンツデザインの制作を外部委託する作業に取り掛かりたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
生物の目(もく)と科(か)による全ての地球上の生きものの系統を繋げる作業と同時に、各進化系統を代表する生物のかたちをシルエットで可視化する作業、大陸移動の動きを可視化する作業に最も時間がかかっている。2年半という当初の予想からは少し遅れているが、この遅れを取り戻すべく速度を上げた研究を推進したいと考えている。また、この遅れを取り戻すために優秀な学生の力を借り、研究への学生の好奇心を育て、モチベーションをあげる教育効果も同時に考えながらこの研究の推進を図っている。 最終目的である、一般公開のためのデジタルコンテンツのフレームデザイン制作と配信業務に関しては、当初からの計画通り外部のオペレーター、デザイナーへの委託を考えている。この部分は、システムエンジニアの手をかりなければ研究推進の要である一般公開、サイエンスプレゼンテーション、グローバルアウトリーチとして完成できないため重要な推進方策である。 研究成果を誰でもどこでも見れる研究結果公表の方法を取ろうとしているこの研究の推進方策は、世界からの評価を瞬時に受けることになるため、緊張感と責任感を持ってその評価を受け入れなければならない。 今後、その緊張感と緊張感を持って研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
すべての生物の系統樹に当てはめるためのシルエットの描写・作図に膨大な時間がかかっていることで、タイムラインの可視化のためのコンテンツデザインの外部委託発注が後送りとなった。コンテンツデザイナーとは動きと全体イメージ構想のコミュニケーションを取り、完成作業の効率化を図っているが、コンテンツデザインのためのパーツ制作の完成度をあげることに予想以上の時間がかかっている。系統樹と大陸移動をリンクさせたコンテンツデザインの制作には、かなりの委託作業量がかかることが予測でき、当初から計画を立てていたが初年度、2年目では委託しきれず最終年度に使用計画が後送りになったことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
上記理由から、3年目の前半はすべての生物の系統樹に当てはめるためのシルエットの描写・作図に集中し、後半でタイムラインの可視化のためのコンテンツデザインの外部委託発注を確実に推進していく。次年度使用額のほとんどを、この科学教育コンテンツ開発のコンテンツデザイン外部委託部分に使用する計画である。この部分は専門分野に特化しているため、学生アルバイトや大学院アルバイトでは技術的に追いつかない。この研究の最も大切なインターネットによる研究創作の配信による科学教育コンテンツの開発を支えるテクニカルな部分だけに、3年目の使用額が十分有効に発揮されることが期待できる。
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