本研究は我が国における環境教育からESDへの質的変容について、主に先進的な自治体や学校、NPOなどを訪問し、関係者へのインタビュー調査・分析を行うことで、明らかにすることを目的にしている。 本研究は当初3年計画で進めてきたが、当初予想していなかった日本ESD学会が設立されたことや自治体におけるESDコンソーシアム事業など、本研究の文脈から避けて通れない調査対象が出てきたことから、研究年度をさらに1年延長し、先に調査を行った自治体などの調査の取りまとめを行うとともに日本ESD学会関係者やESDコンソーシアムの関係者へのインタビュー調査をも併せて行い、「環境教育からESDへの質的変容」について、深めるために研究を1年間して行った。 日本ESD学会ならびにESD活動支援センター、ESDコンソーシアム関係者へのインタビュー調査などを行うと共に筆者が立教大学ESD研究所として主催した第1回ESD自治体会議での自治体の報告をもとに環境教育からESDへの質的変容について考察を深めた。また韓国教員大学におけるESD国際シンポジウム(2018年11月、招待講演)、台湾師範大学環境教育研究所(2019年3月)での講演等を通じて、国際的なESDの状況把握に努めた。 研究成果を要約すると、①従来から環境教育に積極的に取り組んできた学校等の取り組みの内容・対象等が、地球環境問題の顕在化や国際化等を反映させた広義な環境教育に取り組むこととなり、結果としてESDへと変容してきた「ESDプロセスタイプ」、②ESDが登場してきたことによって、従来の環境教育に新たな視点を取り入れESDとして取り組みを始めた「ESD目的タイプ」の主に2つの変容にまとめることができる。
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