研究課題/領域番号 |
15K00992
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
岡部 幸徳 金沢工業大学, 基礎教育部, 准教授 (00465486)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経営倫理 / 技術者倫理 / 日英同一内容 / 日英産学協働 |
研究実績の概要 |
本研究に関して以下の3点について研究調査の進展を得た。 1.現在の我が国における高等教育機関における経営倫理教育の現状調査 平成27年度から継続調査を行っている経済、経営、商学系学部における経営倫理教育の現状をシラバス収集によって集約し整理把握するための調査である。平成28年度は、これまで行ったインターネット上に公開中の大学高等教育機関の科目シラバス情報をキーワード、使用事例、授業形態(講義、討論、現地視察、企業特別講義など)等で分類した。 2.金沢工業大学及び英国レスター大学による技術者倫理教育科目、経営倫理教育科目を通した授業内容の部分共通化 英国レスター大学ビジネススクールのワグナーツカモト博士(経営倫理)、同大学工学部のストッカー博士(技術者倫理)との共通授業内容の基盤ツールとして、札野順「技術者倫理モデルシラバス」を両博士と共に、英国における同教育分野への適合可能性を検討した。ストッカー博士が本年度末迄に技術者倫理関連授業で部分試用することになった。3.経営倫理面で共同研究を進めるワグナーツカモト博士と企業特別講義を日英同一内容で開講した。具体的には金沢工業大学の必修科目「科学技術者倫理」とレスター大学ビジネススクールの夏季集中講座「BussinessEthics」において、企業実務家によるCSR講話を開催した。登壇者は、本研究課題の連携研究者である(株)アデランスCSR広報部長箕輪睦夫氏である。2016年8月23日に英国レスター大学ケンエドワードビル1階教室にて「BusinessEthics」受講生50名に対し行われた。日本では2016年12月20日に金沢工業大学多目的ホールにて「科学技術者倫理」の正規授業時間に約400名を集め行われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.現在の我が国における高等教育機関における経営倫理教育の現状調査 当初計画との比較においては上記①項の調査進捗に限っては予定よりも遅れている。これは日本全国の高等教育機関のシラバスを1つ1つ調査をする作業である。本年度は前年度にシラバス調査を行ったRAの調査内容を代表者が1人ですべての確認作業を行う必要があったことから、780校を超える大学とそのサンプル数の多さに対する確認作業人数(代表者のみの1名)のバランスの悪さから生じる遅延によるものである。 2.金沢工業大学及び英国レスター大学による技術者倫理教育科目、経営倫理教育科目を通した授業内容の部分共通化 「産業界における経営倫理の取り組みや研修などの実態調査」の一環として、我が国において先進的取り組みを行っているといわれる企業実例講義を海外連携研究者と協力しその内容の共通化を図った。これは我が国の科学技術者倫理と経営倫理の教育の統合化を目指す本研究の目的に照らしても、また国内のみならず海外においてもその教育における重要性は変わらない。前項において金沢工業大学と英国レスター大学の技術者倫理及び経営倫理講座において同内容の企業特別講義を開催するにあたり、アデランス社箕輪氏とワグナーツカモト博士と代表者は綿密なコミュニケーションを取り実施準備を行った。これにより両校の授業内容のうち、企業の倫理的取り組み事例としてのアデランス社講義を通して共通化することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
1.現在の我が国における高等教育機関における経営倫理教育の現状調査 前年度からの確認作業を継続し平成29年度9月末には終える予定である。その後、必修、選択など分類、担当教員、授業スケジュール、講義、討議、実習などの授業形態、取り扱う事例などの分類項目について集計を行い、その後札野作成の「技術者倫理」モデルシラバスを参考に、また「経営倫理」モデルシラバス」の調製を行う予定である。 2.「産業界における経営倫理関連研修の実態調査」と「科学技術者倫理と経営倫理の統合」の一環として技術者倫理教育科目、経営倫理教育科目を通した授業内容の部分共通化 既に説明した通り、金沢工業大学「科学技術者倫理」とレスター大学ビジネススクール「BusinessEthics」講座において、企業特別講義の内容の共通化を平成28年度に達成した。平成29年度はさらにこの講座を深化させ、本年度6月~9月の期間において金沢工大、レスター大両校において、アデランス社のトップマネジメントが登壇し同社のCSRの取り組みを講義する計画準備している。これは平成29年の研究成果発表として準備中である「経営倫理・科学技術者倫理統合モデルシラバス」を構成する1つの重要要素となる。 経営倫理教育に関するシラバス調査を9月末迄に終え、今年度中に日本経営倫理学会研究例会での発表を目指す。また、同時に金沢工業大学科学技術応用倫理研究所HP上での公開準備も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度への繰越額として15910円が生じたが、これは英国への研究打合せの際の航空券価格や購入パソコンの価格相場変動によって生じたもので想定の範疇にある。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には米国での国際学会参加、前年度同様に英国・欧州での共通内容講座の開催などあることから、航空券手配などに充当することで問題なく使用できる。
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