延長措置を講じた2018年度に実施した研究の進展について以下に記す。 1.2018年12月2‐4日までマカオで開催された第7回ワールドエシックスフォーラムにて技術者倫理教育と経営倫理教育の両分野の現状について意見交換と情報収集をすすめた。2.金沢工業大学及び英国レスター大学による技術者倫理教育科目、経営倫理教育科目を通した授業内容の部分共通化:英国レスター大学ビジネススクールのシグモンドワグナーツカモト博士(経営倫理)、同大学工学部のアランストッカー博士(技術者倫理)の協力を得て共通授業内容として金沢工業大学制作のケースドラマ教材「ソーラーブラインド」を使用した研究室内メンバーによる演習が行われた。特に、ストッカー博士の研究室では倫理的な問題の討議にとどまらず、解決すべき技術論に至る迄活発な意見交換がされた。3.経営倫理面で共同研究を進める英国レスター大学のワグナーツカモト博士及び(株)アデランス社津村佳宏社長の連携により、日英同一内容のCSR企業倫理に関する企業特別講義を金沢、レスターにて開講した。全期間を通じた本研究の成果進展状況を「研究の目的」に照らすならば、科目としての技術者と経営の統合倫理教育は緒に就いたばかりである。だが本研究の目的である「技術者倫理と経営倫理教育の基礎研究との位置づけ」についてはその一部が達成された。具体的には共通の事例研究、共通の企業特別講義をカリキュラムに入れ実施した点は日英の国際共通化をも実現した1つの大きな実績である。「研究実施計画」に照らしては、産業界における両分野の研修についての調査がはかどらずまとめられていない。しかし、本研究成果と残された課題は、研究代表者が2018年基盤研究(C)に採択された「経営倫理教育と技術者倫理教育の統合-統合教育モデルと教育の質保証評価手法の構築」(18K02838)にひき継がれることとなった。
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