研究課題/領域番号 |
15K01004
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研究機関 | 新居浜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
和田 直樹 新居浜工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (90632787)
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研究分担者 |
若原 昭浩 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00230912)
酒井 士郎 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (20135411)
塩貝 一樹 新居浜工業高等専門学校, 電気情報工学科, 助教 (50757664)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 高専教育 / 学生実験 / 半導体 / 青色LED / 発熱 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、高専の学生実験用に青色LED製作工程を作成することが目標である。 徳島大からサファイア基板上に半導体結晶を成長させた青色LED用結晶基板22枚の供給を受けた。そして、豊橋技科大の研究設備を利用して青色LED製作実習を行い、提供を受けた結晶基板にて青色発光を確認することができた。この実習を踏まえて、新居浜高専学生実験用のLED構造と工程の検討を行った。この結果、LEDの大きさは、学生が扱いやすい大きめの0.8mm角とした。電極は円形として、大きさは発光時のLED温度を変化させるために、市販の電極面積に近い直径0.35を中心に0.2と0.5mmの3種とした。市販のLEDと同様な電極形状も用意した。学生実験で行う工程は、爆発性や有毒性のガスや薬品を使用しない最終電極形成とLEDチップ実装に決定した。それ以前の工程は豊橋技科大で試料作製することとした。決定した構造から3枚のフォトマスクを設計・製作できた。そして、最終電極形成直前の前処理試料まで作製することができた。チップ実装に関しては、新居浜高専の装置の条件出しを行い、サファイア基板の切断、チップの接着、ワイヤ接続などができるようになった。今後は早急に新居浜高専にて、学生実験と同様の工程である最終電極形成とチップ実装を行って、青色発光を確認する予定である。 一方、学生実験への半導体デバイス製作実験導入に関しては、平成27年度後期の4年生の学生実験に、初めて太陽電池の製作実験を導入できた。シリコン単結晶の太陽電池を実際に製作して特性測定を行うと同時に、太陽電池の変換効率のコンピュータシミュレーションも導入することにより、理論的にも理解しやすい内容にしたことが特徴である。従来の座学だけの授業と比べ、学生の興味と理解度が向上して好評であった。教育効果について来年度導入する青色LED製作実験と比較検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた学生実験用に爆発性や有毒性のガスや薬品を使用しない安全な青色LED製作工程をほぼ作成できた。しかし、まだ新居浜高専にて青色LEDを完成できていない。この理由は、マスク設計におけるCADの互換性などの問題でマスク製作に時間がかかったこと。また、4年生の学生実験への太陽電池製作実験導入に優先的に時間をかけたことによる。しかし、先行して同じ半導体の製作実験を導入できたことにより、今後青色LED製作実験を導入する場合に必要な大変有意義な知見が得られた。限られた時間内での実験と講義内容の厳選、考察内容の吟味など、教育効果向上のための検討に活かしていく。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、まず早急に新居浜高専にて、学生実験と同様の工程にて最終電極形成とチップ実装を行って青色発光を確認する。 次に、学生にデバイス設計上の最重要課題である発熱の問題を考えさせる実験を作成する。ここでは、学生に発熱が異なるLEDパッケージを製作させ、LEDの発光部の温度を測定させる。簡単な理論からLED温度を計算させ、実験結果と比較させる。LED発光部の温度が電気的光学的特性に与える影響とその原因を考察させる。 最後に、日本人3名がノーベル賞受賞に至った青色LED実現の重要な技術ブレークスルーである「異種材料間の結晶成長法」と「結晶欠陥と発光効率」、「p形結晶作製」を考察させるための説明資料を作成して実験書にまとめる。 平成29年度は、実際に4年生の学生実験に「青色LEDの製作と評価」を導入して、教育効果について考察する。そして、先行導入している太陽電池の教育効果と比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最少購入単位数の関係からTOステム、フォトレジスト購入金額が増加した。学会発表のため東京出張が発生し出張費が増加した。以上の増加分を補うために、恒温槽の購入を次年度に変更したために次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度助成金と合算して、恒温槽の購入に充てる。
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