研究課題/領域番号 |
15K01016
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
室田 真男 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 教授 (30222342)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 教育工学 / 学習支援システム / 自律的学習モデル / スポーツ選手 / GPS / 加速度センサー |
研究実績の概要 |
「スポーツ選手の自律的学習モデルの構築とその学習支援システムの開発」と題する本研究では,主にコーチや指導者がいないスポーツ選手を対象に,実技練習とその実技練習の振り返りによる自律的学習モデルを構築し,その学習支援システムを構築することを目的としている。 今年度は,加速度センサーやGPSによる位置情報を活用して,学習者であるスポーツ選手に客観的なデータをフィードバックするシステムに関する2つの成果を上げた。 まずは,ランニングスキル獲得のための学習支援システムを構築した。本システムでは,ランナーに装着した加速度センサーのデータを第三者が撮影したビデオ映像と同期させて学習者に提示できる仕組みを提案し,自らのフォームの欠点や長所についての気づきを促すことができる特徴がある。試行実験の結果,センサーデータと動画を組み合わせて見せることにより,学習者が自分の走りを分析的に考え,自らの走りのゆれのピーク値や悪い動きのタイミング等を知り,新しい改善点などを自ら発見できていた。 次に,サッカー競技において,学習者への自律的な学びを促す効果的なフィードバック内容を検討した。試合において重要なプレーの一つであるパスに着目し,GPSならびに映像を活用して取得した選手とボールの位置データを用いて,パスの質の定量的評価方法を提案した。具体的な試合データに基づきパスの評価値を求め,エキスパート評価により提案方式の妥当性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,加速度センサーを用いて陸上のランニングフォームの自律的な学習を支援するシステムの開発を行うことができた。加速度センサーと映像を同期させて表示することは有効であり,センサーデータと映像を組み合わせてスポーツ選手の学習支援を行うことができる見通しが立った。一方,GPSデータの活用に関しては,サッカー競技におけるプレーの質を定量的に評価できるかどうかを検討し,新たな評価方法を提案することができた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では,今までの知見を統合し,加速度センサー,GPS,心拍データ,そして映像を組み合わせたシステムを構築し,スポーツ選手の自律的な学びをより効果的に支援することができるシステム構築を目指す。最初は個人スポーツにおける学習支援システムの構築を目指し,その後,チームスポーツの中での個人の学習支援システムの構築を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由としては,2つある。まずは,システムの開発のために人件費を見積もっていたが,前年度に開発したシステムを活用することにより,今年度は新たな開発部分のコストがかからなかったためである。次に,研究成果を国際会議において発表する予定でいたが,年度初めの研究進捗が予定より遅れ,平成28年度中に国際会議において発表することができなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は,加速度センサー,GPS,心拍センサーおよび映像を統合したシステムを開発予定である。まずは,その開発のための設備費および人件費が必要である。そして,有効性の検証実験を行うための人件費や謝金などに使用する。さらに,成果を国内ならびに国際会議において発表する予定である。
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