研究課題/領域番号 |
15K01030
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研究機関 | 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構 |
研究代表者 |
渋井 進 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 准教授 (60415924)
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研究分担者 |
野田 文香 独立行政法人大学改革支援・学位授与機構, 研究開発部, 准教授 (20513104)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大学評価 / 指標 / テキストマイニング / 内部質保証 / 単位制度の実質化 |
研究実績の概要 |
大学や評価機関における評価疲れが見られる現状を改善するため、評価指標の標準化を行うことで、評価の省力化への支援促進を目的とした研究を実施した。前年度の調査を踏まえ、現在大学評価において重要視されているトピックに関して、大学機関別認証評価の評価報告書をもとに、頻出する指標・エビデンスを抽出し、可視化を行った。引き続き評価機関においてピア・レビューアーが中心となって記述した評価結果報告書の内容分析を進めるとともに、本年度は新たに、大学が記載した自己評価書にも着目してデータ分析を進めた。 代表的な認証評価機関である大学改革支援・学位授与機構の大学評価基準の中から特に教育評価に関連する重要トピック(5-4-3単位の実質化への配慮、8-1-1内部質保証システム)を抽出して分析を進めた。「単位の実質化への配慮」については、評価結果報告書の記述に対して、学士課程、専門職学位課程、大学院課程の課程別、受審年度別の分析を行い、指標・エビデンスの出現頻度のクロス表のデータをもとに、コレスポンデンス分析を適用して可視化を行った。それにより、教育内容に関連した普遍的な指標と、政策誘導により流動的に変わり得る指標という、2つの指標の傾向が明らかになった。 「内部質保証システム」については、大学が提出した自己評価書の記載をもとに、テキストマイニングにより、手動の内容分析より、より客観性を担保した自動化した分析を行った。頻出する用語の抽出を行い、年度推移による大学の記述の傾向を分析、クラスター分析による大学の記載パターンの分類や、自己組織化マップを用いた指標の出現傾向の類型化、などにより可視化を行い、評価機関が示している既存の内部質保証に関するガイドラインとの比較を行った。 これらの研究成果は、情報、教育、心理等に関する国内外の学会で発表を行った。また、評価やIRに関連する学会誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に従い、内容分析に加え、テキストマイニングにより指標・エビデンスの抽出を客観的に行うことが可能となった。また、評価書の分析に適した辞書の整備も行った。さらに、評価書のテキストデータだけではなく、記載される指標・エビデンスに関連して、認証評価の意義等についても把握するために、大学評価機関のアンケート調査の経年的推移についても分析を行った。さらに、指標の妥当性の判断基準に関する研究も進めた。これらの成果は学術論文2報および、査読付き国際会議を含む学会発表7件として公表したことから、一定の成果を得られていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、分析対象の拡大を行い、自己評価書及び、評価結果報告書の多くの基準・観点に対してテキストマイニングを実施する。また、大学機関別認証評価のデータだけではなく、H28年度に行われた国立大学法人評価のデータも用いた分析と可視化を行う。また、テキストデータだけではなく、学部研究科の教育および研究に関する現況分析結果のデータの分析および、段階判定の水準とテキスト分析による記載された指標・エビデンスの関係について、段階判定を被説明変数、複数の候補となる指標・エビデンスを説明変数とする重回帰分析を用いることで、評価項目ごとのKPIについて探索的な検討を行う。 これらの可視化されたデータを用いた評価支援WEBサイトの試作及び、評価担当者への評価実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していたテキストマイニングソフトについて、同等の機能を果たすフリーソフトを利用することで、経費の節約を図った。旅費に関しても早期購入の割引運賃を用いることで、当初予定していた割引運賃よりもさらに格安に抑えることが可能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
設備備品として、支援システムを構築して公開するために、WEBサーバー一式が必要となる。また、消耗品費としてサーバーソフトおよびWEBプログラミングツールおよび、関係周辺機器が必要となる。さらに、国内外の学会等での研究成果発表の旅費が必要となる。謝金として、テキストデータの整理にかかるデータ解析補助およびWEBページの作成のための謝金が必要となる。その他、成果公表のための英文校閲、論文掲載に係る費用が必要となる。
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