大学の理工系学部情報系学科の学生にとって,プログラミングは必須である.しかし,初期のプログラミング授業では,プログラムの全体構造,アルゴリズム,データ構造等の講義や演習に多くの時間がとられ,プログラミングスタイルを学習するための時間をとることが難しい.これらの問題点を解決するために,Java言語のプログラミングスタイルが自学自習可能なツールの開発を目的とした. このツールを用いることにより,学習者は(i)適切な字下げ,(ii)ソースコードに対する適切なコメントの挿入位置,(iii)Javaの命名規則に従った適切なクラス名,メソッド名,変数名,(iv)変数名に英語を用いて命名することの重要性,(v)適切な変数のスコープなどを学ぶことができる.また本ツールは,多くのプログラマーが開発環境として利用している,Eclipseのプラグインとして実装した. ツールを開発するために,以下に述べる機能の実装方法を検討して,ツールに実装した.(i)キャメル方式推奨機能,(ii)英単語推奨機能,(iii)コメント記入推奨機能,(iv)ソースコード整形機能,(v)不適切なスコープの指摘機能. ツールを授業に用いて評価した結果,ソースコードに対する適切なコメントの挿入位置についてはほぼ全員の学生,Javaの命名規則に従った適切なクラス名,メソッド名,変数名に対しては80%の学生,インデントの適切な位置に関しては70%の学生がツールは学習に有効であると答えた.ユーザインターフェースや使い勝手について学生に意見を求めたところ,80%以上が肯定的であった.
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