研究期間最終年度の本年度は、主体的学修の最終的なモデル確定作業を行なった。学習者が日頃の学習において使用している学修方略に関する予備調査アンケートを実施して368個の学習方略を得た。これらを本研究の担当者を含めた5名の研究者でKJ法を用いて分類、整理し、最終的に43項目の学習方略を抽出した。43項目の学習方略の中には、自身の成長を考えて学習するための方略だけでなく、単位取得という結果を得ることを優先した学習方略や、間違いの指摘を避けるための行動なども含まれている。この43項目の使用頻度を「全く行わない」から「常に行う」までの5段階で問う質問しを作成し、短大および四年制大学の計5大学から1089名の有効回答を得た。得られた回答の分析を行い、主体的学修のモデルを作成した。 因子分析の結果、学習行動は2因子で説明できることがわかった。1つの因子は「獲得因子」、もう一つの因子は「回避因子」である。獲得因子は、自身の成長に寄与するような学習行動を促す因子である。一方、回避因子は、学習目的達成の失敗を回避したり、自身の能力不足を直視するような行動を避けるような因子である。この2つの因子に関する行動の過多の組み合わせから、主体的学習が4種類の分類されることが分かった。1つは獲得行動が多く回避行動が少ないパターンで「成長志向」と名付けた。逆に獲得行動が少なく回避行動が多いパターンを「防衛志向」と名付けた。獲得行動と回避行動の両方が多いパターンについては「完了志向」と名付けた。また、獲得行動も回避行動も両方とも少ないパターンについては「参加志向」と名付けた。大学により割合は異なるが、全ての大学で4つの学習志向の学生が一定数存在していることがわかり、主体的学修を分析するためのモデルを作成することができた。 なお、本研究実施にあたっては、東海大学倫理委員会の承認を得て行なっている。
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