本研究の目的は医学生を対象とした効率的な内視鏡外科手術手技トレーニングプログラムを開発することであり具体的な教育効果としては 1.医学生の内視鏡外科手技の習熟 2.医学生の外科手術に対する興味やモチベーションの増加を短期間で達成することが可能なプログラムを確立するのが目標である。当該年度に実施した研究の成果は以下の通りである。①昨年度までのデータをまとめてSurgical Endoscopy 誌に投稿、reviseを経てacceptとなった(Surg Endosc. 2018 32(1):96-104)。②論文投稿後も追加データを得るために実習前のアンケート結果と学生の手技の習熟度、内視鏡外科に対するモチベーションの有無の評価を継続して行った。③学生に興味を持たせ主体的にトレーニングをさせるためにvirtual reality simulator(VRS)の結紮や胆嚢摘出などの難易度の高いタスクが有用であることがこれまでの研究成果で認められていたので、これを学生に行わせた。④最終的なトレーニングプログラムとして、まずAugumented reality simulator(ARS)でビーズ玉の移動などの簡単なタスクを履修させ、次にVRSの簡単なタスク、さらにARSでの胆嚢摘出、VRSでの結紮や胆嚢摘出という順番で、難易度を少しずつ上げたタスクを段階的に履修させるトレーニングプログラムを作成、履修させた。⑤④のプログラムは学生の外科実習中に行われたものであるが、学生のモチベーションが維持できなかったり、実習が多忙のために完遂できない場合が認められた。⑥学生のトレーニングに立ち会う教官側も多忙のため、モチベーションのある学生の要望に応えきれない場合も認められた。⑦上記結果から学生が時間がある時に履修可能でモチベーションを保てる魅力的な自習プログラムが必要であると考えられた。
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