本研究の目的は、英語のリーディング学習法の一つである多読(ER)の効果を検証し、さらに、学習者にとって効果的学習法や教授法を考案することであった。そのため、平成27年度は、日本人大学生を対象に、3ケ月間の多読前後で、以下の5項目、①読解力、②WPM、③脳活性状態、④読解ストラテジー、⑤視線行動データを採取し、多読前後を比較した。平成28年度は、3ヶ月間のERに加え、ストラテジー指導を行い、指導前後で同様の5項目の変化を調査した。最終年度は、分析結果にもとづき、より詳細なデータを学習者を限定してを調査した。結果として、学習者は 1)英語力は、向上した者と変化のない者に分かれた。2)WPMは、いずれの学習者も向上した。3)脳活性状態は上級学習者に近づいた。4)ストラテジーの変化には多様性があった。5)視線行動は、速度、質ともに上級学習者に近づいた。これらの結果にもとづきER 学習効果は、直接的な英語力向上につながらない場合でも、客観的検証(脳活性状態、視線行動、WPM)は、上級学習者に近づいたと言える。学習者の意識的学習や表面に現れるペーパーテストの得点のみで判断するのではなく、学習者の無意識下の学習状況から自らの学びを促進する教授法であることが明確になった。
|