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2017 年度 実施状況報告書

IT技術を用いた中国語の発音教育システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K01049
研究機関富山高等専門学校

研究代表者

星野 朱美  富山高等専門学校, 一般教養科, 教授 (90300566)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード有気音 / 無気音 / VOTの長さ / VOT中のパワー / 自動判別 / フォルマント
研究実績の概要

中国語の発音の殆どが日本語に無い音なので,多くの学生は中国語の発音を難しく感じている。その中でも「有気音」と「無気音」は調音の区別が困難であるとともに,発音を正しく聞き分けることも難しい。また帰宅後の自習も自分の発音が正確かどうか,チェックする手段がない。そのため,本研究ではIT技術を用いた中国語発音教育のコンピュータ援助指導システム(CAI)の開発を目指している。
研究は研究計画書に記載した通りに実施している。本年度は中国語の唇音の「有気音」p[p’]と「無気音」b[b]の4対の発話を対象にして,有気音の発話の正確さはVOTの長さだけではなく,VOT中のパワーにも依存することが分かった。昨年度は初期段階で唇音の「有気音」と「無気音」の自動判別システムを開発したので,本年度は自動判別率向上のため,認識の特徴パターンを増やし,更にVOTの長さが短い時,VOTがパワーにも依存する一定の長さの時とVOTが十分長い時の三段階に分けて,それぞれパワーと周波数スペクトルの自動測定により認識の特徴パターンの抽出システムを改良した。
更に特徴抽出のためにフォルマントF1~F4の測定用プログラムを改良し,それらを用いて発話の特徴としてF1~F4を抽出した。更に新たな判別基準により「有気音」と「無気音」の自動判別システムも改良した,各発話のVOTと有声期間中の平均パワーを自動測「有気音」と「無気音」の音節の自動判別の実験を行った。その結果,自動判別率の精度が向上し,「有気音」と「無気音」の自動判別は,いずれも96%高い判別率が得られた。
更に学生の舌根音の有気音と無気音の発話を対象にして, 35チャンネル(CH)のフィルターバンクを用いて周波数スペクトルを自動測定し,CH毎にそれぞれVOT中の平均パワーと有声期間中の平均パワーを自動計算して,CH毎に舌根音の発話のVOTの特徴パターンを抽出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書に記載した通りに実施している。本年度は唇音の「有気音」と「無気音」の高精度自動判別システムの開発を目的として,まず,発話データの標本数と発話認識の特徴パターンを増やし,更にVOTの長さを三段階に分けて,それぞれ周波数スペクトルとパワーの自動測定を行った。また,唇音のパワーと周波数スペクトルの自動測定システムとVOTの特徴パターンの抽出システムを改良した。更に新たに有気音と無気音のフォルマントのF1~F4の測定システムも改良し,それらを用いて発話の特徴としてF1~F4を抽出した。更に新しい判別基準により「有気音」と「無気音」の自動判別システムを開発し,各発話の音節の VOTと有声期間中の平均パワーを自動測定することにより「有気音」と「無気音」の発話の自動判別の実験を行った。その結果,いずれも95%以上の高い判別率が得られた。
それらの研究結果は,富山大学で開催された平成29年度電気関係学会北陸支部連合の大会の招待講演で「日本語話者向けの中国語の有気音発音訓練システムの開発」の表題で発表した。更に国際学会 International Conference on Computer Science and Information Technology (ICCSIT 2017)において 「Automatic Recognition of Chinese Aspirated Sounds Pronounced by Japanese Students」の表題で発表した。

今後の研究の推進方策

研究計画書に記載した通りに実施している。中国語は発音の種類が非常に多いので,パターンも多い。平成30年度は,所期の目的をより精緻に達成するためで,舌根音の「有気音」と「無気音」の高精度の判別システムを目的として,発話データの標本数と発話認識の特徴パターンを増やし,学生の発話と中国語話者の発話のVOTの長さ,VOT中と有声期間中のパワーの大きさや特徴,周波数スペクトルなどをそれぞれ分析する。35チャンネルのフィルターバンクを用いた周波数スペクトル自動測定し,舌根音のVOTの特徴パターンの抽出システムを開発する予定である。更に舌根音の有気音と無気音のフォルマントのF1~F4の測定システムを用いて発話の特徴としてF1~F4を抽出することにより,舌根音の発話の新しい評価基準を提案し,それらのデータを用いて,有気音・無気音の発話の高精度で汎用性の高い自動識別システムの開発を目指す。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度は上記(今後の研究の推進方策)のとおり研究を遂行する。平成29年度分に未使用額が生じたが,延長承認申請書に記載した通り,所期の目的をより精緻に達成するためで,その成果は平成30年度に国際学会で発表する予定である。そのため,今までの成果を用い,更に新たな発話データを解析することにより対象データとその特徴を表すパターンを増やし,高精度で汎用性の高い自動音声識別システムの開発を目指す。
更に,国際学会への参加で得られる国際的な研究動向を本研究に適用し,より良いシステムの開発への道筋を確立する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Automatic Recognition of Chinese Aspirated Sounds Pronounced by Japanese Students2017

    • 著者名/発表者名
      Akemi Hoshino
    • 雑誌名

      International Journal of Computer and Communication Engineering

      巻: Volume 6,Number ページ: p221-228

    • DOI

      10.17706/ijcce.2017.6.4.221-228

    • 査読あり
  • [学会発表] Automatic Recognition of Chinese Aspirated Sounds Pronounced by Japanese Students2017

    • 著者名/発表者名
      Akemi Hoshino
    • 学会等名
      International Conference on Computer Science and Information Technology
    • 国際学会
  • [学会発表] 日本語話者向けの中国語の有気音発音訓練システムの開発2017

    • 著者名/発表者名
      星野 朱美
    • 学会等名
      富山大学で開催された平成29年度電気関係学会北陸支部連合大会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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