研究実績の概要 |
中国語の発音の殆どが日本語に無い音なので,多くの学生は中国語の発音を難しく感じている。その中でも「有気音」と「無気音」は調音の区別が困難であるとともに,発音を正しく聞き分けることも難しい。また帰宅後の自習も自分の発音が正確かどうか,チェックする手段がない。そのため,本研究ではIT技術を用いた中国語発音教育のコンピュータ援助指導システムの開発を目指している。 本研究は研究計画書に記載した通りに実施している。本年度は中国語の舌根音の「有気音」と「無気音」の自動判別システムの開発を目的として,自動判別率向上のため,まず,認識の特徴パターンを増やし,舌根音のVOTの長さと相対パワーの自動測定プログラムを改良した。その自動測定システムを用い、収録した中国語話者と日本語話者の発話に対して,VOTの長さと相対平均パワーを自動測定することにより、有気音と無気音のVOT,パワーなどにより特徴を引き出した。更に特徴抽出のためにフォルマントF1~F4の測定用プログラムを改良し,それらを用いて発話の特徴としてF1~F4を抽出した。 新たな判別基準により自動判別システムを改良し,それらのシステムを用いて,各発話の音節のVOTと有声期間中の平均パワーを自動測定することにより「有気音」との「無気音」の音節の自動判別の実験を行った。その結果,「有気音」のka, ke,kuの自動判別率はそれぞれ96%,92%,93%で,「無気音」のga,ge,guの自動判別率はそれぞれ96%,93%,93%で,いずれも高い判別率が得られた。 それらの研究結果は,国際学会 International Conference on Computer Science and Information Technology (ICCSIT 2018)において 「Automatic Discrimination System for Chinese velar Aspirated Sounds and Unaspirated Sounds Pronounced by Japanese Students」の表題で発表した。
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