研究課題/領域番号 |
15K01052
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
利光 和彦 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (10180150)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 仮想現実 / 触診システム / 力覚 / メッシュフリー法 / 医療シミュレータ |
研究実績の概要 |
本年度は,触診教育訓練システムの基本部分の構築を目的とし,単純モデルを用いて以下の1~3について研究を行った. 1.点群モデル化の検証,2.バネ-質点要素による簡略化した大変形解析,3.力覚システムへの組込と応答性の把握 1については,実際の頭頸部モデルを点群で表すことに成功した.具体的には,歯科診療の患者頭頸部の触診を対象としたCT画像(エナメル上皮腫症例)を典型例として,有限要素と点群による計算モデルを作成する方法を市販ソフトと自作プログラムにより確立した.現在,単純な円筒モデルに対して,患部堅さが異なる非一様剛性モデルを組み込んだシステムの構築を行っている。これが完成後には,医師がしこりなどの状態を感じることができるかを検討する予定である. 2については,新たにより汎用性の高い粒子法(MPS法)による解析手法を定式化した.現在プログラムを作成中である. 3については,市販の力覚伝達装置(パプティックデバイスファントムオムニ)に上述のFortranプログラムからCプログラムに変換した制御プログラムを組込みことで制御装置の構築を行い,変形量および力覚(反力)応答性を検証した.この際、研究者らによる独自の簡易バネ-質点ネットワークモデルによって,計算時間の大幅な短縮が可能となり,従来のシステム(FEM解析)では、弾性解析計算時間が500msecであったものが、1/25の20msecとなった.この結果,PHANToM Omniで仮想モデルを触診する動作において,リアルタイム作動によるスムーズな力覚応答が実現できた.さらに,接触点の変形を,点接触から面接触に変更し,画面上での触診部分の自然な変形状態を実現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請時から所属機関が変わり,研究環境を整えるための期間が必要であったことにより,若干の遅延が生じている. 本年度は,触診教育訓練システムの基本部分の構築を目的とし,単純モデルを用いて以下の1~3について研究を行ったが、それぞれについて以下の遅延がある。 1.点群モデル化の検証において,医師の指定の患部堅さが異なる非一様剛性モデルを作成できるスキームを定式化し,プログラムを作成するには至っていない. 2.バネ-質点要素による簡略化した大変形解析においては,新たな計算手法として粒子法(MPS法)の定式化を行っている。これは当初計画には無かったが、本研究の発展性を考慮した上の計画変更である。したがって、若干時間を要することは想定される。 3.については、力覚システムへの組込と応答性の把握は,計算時間の大幅な短縮によってスムーズな力覚応答を実現できており、ほぼ計画通りの進捗状況である.
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今後の研究の推進方策 |
前述の1~3についての現在の状況を踏まえ、下記のような方策で進める。 1.現在取り組んでいる円筒単純モデルにおいて医師の指定の患部堅さが異なる非一様剛性モデルを作成できるプログラムの完成および動作確認を重点的に行う。さらに、実際のしこりなどの病変が触診で感じられるか否かのテストを現システムで行う. 2.すでに、新手法のMPS法の定式化は終わっているので、まずは2次元モデルによって既存の計算ができること目指す。その後3次元モデルへ拡張の予定である。 3.力覚システムへの組込と応答性の把握は,計算時間の大幅な短縮によってスムーズな力覚応答を実現できており、ほぼ計画通りの進捗状況であるため、変形量の精度検証よりは,医師の感想によるしこりの表現を実現する触診感覚に重点を置き,システム改良を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
経費節減による,消耗品の1万円以下の残金として生じたもの
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品繰り越し使用する.
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