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2016 年度 実施状況報告書

マルチプレイ型人工学級ゲームシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K01059
研究機関新潟大学

研究代表者

前田 義信  新潟大学, 自然科学系, 教授 (90303114)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードいじめ / 同調行動 / 排除行動 / 行動連鎖 / 付和雷同 / エージェント / プレイヤ / 割り込み処理
研究実績の概要

本研究の目的は,学校いじめ問題に関して,工学的アプローチから解決を目指すものである.具体的には,コンピュータの中に,自律的に行動を起こす生徒エージェント(プログラム)を複数設計し,それらの相互作用から学級全体での様子を観察し,もしもいじめに似た現象が観察されるなら,それを制御するためのパラメータを導き出すことである.この目的を実現するために,実際の人間がどのような行動をするかを計測しなければならない.そこで,人間がプレイヤとして人工学級の生徒エージェントと相互作用可能な人工学級ゲームを開発している.これまでの問題は2点あり,1)学外ネットワークとつなぐときにプログラムがフリーズすることがあった,2)プレイヤとエージェントでは行動を起こす際の意思決定に時間差が有り過ぎた,であった.ひとつめの問題は,学内ネットワークでゲームを実施することによって解決した.
もうひとつはゲームのルール自体の変更によって解決を図ることにした.これまでは,活動者を選ぶ→対象者を選ぶ→活動者が対象者に相互作用する,をワンセットとして,これが繰り返されていた.プレイヤとエージェントで大きく異なるのは,3番目の相互作用に要する時間であった.そこで新しいルールでは,プレイヤが好きなときに活動者になることができて,対象者を選ぶことができるようにすることとした.あるエージェントが既に対象者に選ばれていると,そのエージェントを対象者に選ぶことはできないため,プログラムの中にフラグを立てる必要がある(割り込み処理).エージェントもプレイヤの平均に合わせて活動者になるタイミングを決定する.こうして,ゲーム全体のプレイ時間も短縮でき,実験の際に,実験参加者が飽きることのない時間でデータを得ることが可能となる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在,ルール変更のためのプログラミングを行っている.具体的には,人工学級ゲームのインタフェース上に「活動者志願ボタン」を設置し,プレイヤAがこのボタンを押すと,Aにおいて活動者フラグが立つ.このとき,他のプレイヤはAを対象者として選択できないようにする(選択すると「現在Aは活動者になっています」を表示する).Aが対象者Bを選んだときも,Bは他のプレイヤから選ばれないようにする(選択すると「現在Bは対象者に選ばれています」を表示する).ただし,あるプレイヤが既に対象者として選ばれているにもかかわらず,同時に対象者として選ばれるバグが時折発生し,現在,そのプログラムバグを修正中である.
同時にエージェントシミュレーションも並列して実施している.具体的には,活動者の選択,対象者の選択,活動者から対象者への相互作用の3つである.活動者の選択では,各エージェントに自己主張力属性を持たせ,その数値に依存して活動者になりやすいエージェントを設定した.対象者の選択では,一度選択された者が再び選択されやすくする優先的選択を採用した.優先的選択の程度は,各エージェントによってランダムに異なるよう設定した.活動者から対象者への相互作用では,同調行動,包摂行動,卓越行動,排除行動の4つの行動が,行動連鎖,行動反射,行動模倣,付和雷同の4つの発動ルールに従って起こり得るため,全部で16通りの可能性が考えられる.現在,総当たりで調査中である.

今後の研究の推進方策

マルチプレイ型人工学級ゲームでは,「活動者志願ボタン」や「対象者選択ボタン」でのバグを修正し,10人のプレイヤによる人工学級ゲームプレイを実施予定である.その際,ゲームの楽しさ,リアルさを評価するだけでなく,性格検査も同時に実施して,プレイヤのゲームでの行動とプレイヤの性格との間の相関を調査する.こうして,今後,エージェントのプログラミングに際して,一意にプログラムするのではなく,タイプ別のプログラムを準備することができる.また,プレイヤがゲーミングシミュレーションを通して,いじめ問題とは何か?どうすれば学級でいじめを起こさないで済むかを考えることのできるベースを設計する.

次年度使用額が生じた理由

人工学級ゲームのルール変更において,プログラムバグの修正が完成しておらず,少し遅れているため.

次年度使用額の使用計画

プログラムが完成すると,サーバマシンとクライアントマシンを購入(約300,000円)し,プレイヤを募集して実験を開始する(約30,000円).その結果は,生体医工学シンポジウム(長野県上田市開催)か,Fusion Tech(新潟市開催)で発表予定である(約50,000円).

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] マルチエージェントシミュレーションを用いたスクールカースト現象とエージェントの行動ルールの関係2017

    • 著者名/発表者名
      佐々木秀麻,西田悠,前田義信
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告,安全・安心な生活とICT研究会
    • 発表場所
      新潟大学五十嵐キャンパス,新潟県新潟市
    • 年月日
      2017-03-03
  • [学会発表] マルチエージェントシミュレーションを用いたスクールカースト現象に関する基礎研究2017

    • 著者名/発表者名
      小野凌輔,西田悠,前田義信,松本慎平,加藤浩介,山岸秀一
    • 学会等名
      電子情報通信学会技術研究報告,回路とシステム研究会
    • 発表場所
      機械振興会館,東京都港区
    • 年月日
      2017-01-27
  • [学会発表] An effect of frequency-dependent behavior on bullying in school using multi-agent simulation model2016

    • 著者名/発表者名
      Y. Nishida, Y. Maeda
    • 学会等名
      31st Int. Technical Conf. Circuits/Systems, Computers and Communications
    • 発表場所
      沖縄県市町村自治会館,沖縄県那覇市
    • 年月日
      2016-07-10 – 2016-07-13
    • 国際学会
  • [学会発表] An effect of production lifespan on markets using multi-agent similation2016

    • 著者名/発表者名
      S. Onodera, N. Ito, Y. Maeda
    • 学会等名
      31st Int. Technical Conf. Circuits/Systems, Computers and Communications
    • 発表場所
      沖縄県市町村自治会館,沖縄県那覇市
    • 年月日
      2016-07-10 – 2016-07-13
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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