【研究目的1】研究現職教師の研究仮説立案と研究認識タイプの関連性の検討:教育実践研究を継続的に推進している大学院修了生の研究成果を論文として投稿・公表した。また,将来教師となる学部生が,知識生産型の認識を持つベテラン教師の教育技術を調査・分析し,その過程・成果を評価する活動を継続して行った。 【研究目的2】図解による仮説設定・再構成活動の効果の検証とモデル化:2年間にわたる,図解による仮説立案活動(図解1)→実践による検証→図解による研究成果のまとめ(図解2),という現職教師(非大学院生)56名を対象として5件法によるアンケートにより効果を検証したところ,仮説立案(図解1:平均3.92)よりも研究のまとめ(図解2:平均4.72)が有効,アイデアの整理方法としての評価についても,図解1(平均3.58)よりも図解2(平均4.67)が有効との結果が得られた。また,図解による研修内容(平均4.73),グループでの図解を利用した議論(平均4.75),ともに有効との評価が得られた。従って,現職教師が学校において教育実践研究を展開する際の図解利用モデルは,実践前に図解により修正可能な仮説を集団で議論しつつ立案し,実践後には,当初立案した仮説を,実践を通して得られた成果を議論しつつ修正する方法が有効と考えられる。 【研究目的3】知識生産型教育実践研究を促進する教員研修プログラムの開発:以上の成果をまとめると,学校での実践研究推進の際に,実践前に図解によるグループ討議を行い,実践後に成果をまとめ,図解を修正する活動を組み込む研修プログラムが有効と考えられる。研修のコンテンツとしては,今回の研究において開発した教材・シートを利用可能である。
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